A.ランゲ&ゾーネらしさとは何か? フラッグシップというべき「ランゲ1」のオフセットされたダイヤルや、アウトサイズデイトを思い浮かべる人も少なくないだろう。確かにそれもランゲを象徴する一つだが、他の追随を許さない完成度や細部へのこだわり、また高い技術力の結晶というべきコンプリケーションの数々もまた、ランゲの真骨頂というべきだろう。
例えば「ツァイトヴェルク」。機械式デジタル時刻表示という、他にない機構と表情を特徴とするモデルである。驚くべきは、9時位置の時表示ディスクも、3時位置の分表示ディスクも、全てが“瞬転式”ということだ。60秒、10分、60分が経過するまさにその瞬間、それぞれのディスクが正確無比に切り替わる。これを実現するためには、輪列構成や歯車の精度をブラッシュアップし、動力供給システムやバランスなどを徹底的に調整しなくてはならない。
ここに紹介している「ツァイトヴェルク・デイト」は、初代モデルから10周年を祝し、文字盤外周にリング状のデイト表示を加え、2019年に発表された。深夜0時を迎える瞬間、日付が1日送られるのは言うまでもない。最大4枚のディスクを同時かつ瞬時に動かすという困難に挑戦する姿勢もランゲらしい。