20年の孤高の独走

「時計のF1」をコンセプトに掲げ、2001年に衝撃的なデビューを飾ったリシャール・ミル。2020年末にべールを脱いだ「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」が、20年を経た現在もトップを独走し続ける、孤高のスタンスを見せつける。

Photo Masahiro Goda Text Yasushi Matsuami

「時計のF1」をコンセプトに掲げ、2001年に衝撃的なデビューを飾ったリシャール・ミル。2020年末にべールを脱いだ「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」が、20年を経た現在もトップを独走し続ける、孤高のスタンスを見せつける。

F1サーキットには、他のスポーツやイベントなどでは味わうことのできない、桁違いの興奮が用意されている。そこには地上最高速レベルの戦いがあり、それを支える最先端技術があり、パドッククラブでのラグジュアリーな社交がある。モータースポーツの歴史的・文化的バックグラウンドも薫っている。その全ての世界観が「F1」という言葉に集約されている。

リシャール・ミルが「時計のF1」を掲げて、彗星のごとくシーンに登場したのは、21世紀に入って間もなくのことだった。F1マシンを思わせるスポーティーでエッジィな外装にトゥールビヨンを始めとするハイエンド機構を搭載。最高峰のエンジニアリング、誰も使ったことのない先進的マテリアル、驚異的な耐衝撃性、そしてアドレナリンを噴出させるようなラグジュアリーな世界観――まさに「時計のF1」と呼ぶにふさわしい全てが備わっていた。

そんな孤高のスタンスを貫き、創立20年を迎えようとする2020年末に、約5年の開発期間を経て発表されたのが「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」だ。リシャール・ミルを象徴するアールを描くトノーケースは、ここに紹介しているラグジュアリーなレッドゴールド製と、超軽量で強靭なカーボンTPT®製の2タイプが用意された。

RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ
軽量で耐食性に優れたグレード5チタンを地板やブリッジに採用し、スケルトン加工を施した、キャリバーRMAC4を搭載。36000振動/時のハイビートで、1/10秒計測を可能にしている。クロノグラフ稼働なしで約60時間のパワーリザーブを持つ。「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ」自動巻き、サイズ44.50×49.94mm、カーボンTPT®+RGケース×ラバーストラップ、5気圧防水、39,820,000円。

搭載するのは、高級ムーブメントサプライヤーとして知られるヴォーシェ・マニュファクチュールと共同開発した、ブランド初の自動巻きスプリットセコンド機能付きキャリバーRMAC4。スプリットセコンドはラップタイム表示が可能な機能で、トゥールビヨンやミニッツリピーターに匹敵する製作難度の高さで知られる。2時位置のプッシャーを押してクロノグラフを作動させると、オレンジマーカー付きクロノグラフ秒針と、ブルーマーカー付きスプリットセコンド針が、重なり合って計時を開始。10時位置のプッシャーを押すと、ブルーマーカーのスプリットセコンド針は停止してラップタイムを示す一方、クロノグラフ秒針は計時を継続。再度10時位置のプッシャーを押すと、スプリットセコンド針がクロノグラフ秒針に瞬時に追いつき、また重なり合って計時を続ける。モータースポーツマインドを刺激する機能だ。

8時位置のレッドクオーツTPT® 製プッシャーを押すことで動力ゼンマイを高速で巻き上げる、特許取得機構も興味深い。125回のプッシュでフルパワーとなるが、マシンに注油するかのごとく、エネルギーを充填する行為が、この時計との一体感を高めてくれる。

11時位置にはグリーンで囲まれたヴァーティカルデイト、4時位置にはリューズと連動機能を選択できるファンクションセレクターも装備。時、分、秒はイエロー、クロノグラフはオレンジと、機能ごとに色分けされた表示は実用性に加え、エキサイティングなカラーをまとったF1マシンを彷彿させる。「時計のF1」を掲げて20 年、トップを独走するリシャール・ミルのエグゾーストノートが聞こえてきそうなモデルである。

●リシャールミルジャパン
TEL 03-5511-1555

※『Nile’s NILE』2021年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。