IWCのパイロット・ウォッチの歴史は1936年の「スペシャル・パイロット・ウォッチ」にさかのぼる。その後40年に製造された55mm径のビッグ・パイロット・ウォッチ、48年に英国空軍用に開発された伝説的な「マークⅪ」などを経て評価を確立。航空計器にインスパイアされた実用性と堅牢性を兼ね備えたIWCのパイロット・ウォッチは、今なお冒険心を刺激してやまない。
中でも40年のビッグ・パイロット・ウォッチを着想源に、2002年に46.2mmのケースで登場した「ビッグ・パイロット・ウォッチ」コレクションは、アイコニックな存在感で高い人気を誇る。
今年、サイズダウンしたパイロット・ウォッチが発表され、軽やかなスポーティーさや快適な装着性が話題だが、重厚にして王道的な存在感や視認性の高さ、軟鉄製インナーケースによる耐磁性、削ぎ落したマスキュリンな機能美や身に着けたときの高揚感は、
46.2mmモデルならでは。手首から外してデスクに置いても絵になる。
これまでに限定仕様も含め、約200種類ものモデルが登場し、熱い視線を浴びている「ビッグ・パイロット・ウォッチ」だが、初のダークグリーン文字盤モデルは、先日発表されるやセンセーションを巻き起こしている。グリーンダイヤルは最近のトレンドの一つだが、1903年以来英国のレーシングカーに用いられてきたブリティッシュ・レーシング・グリーンを踏まえたカラーの採用が、IWCらしい。
大空を思わせるブルー文字盤を備え、新たな魅力をまとった「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー」も発表された。
85年に、当時の技術責任者クルト・クラウス氏が完成させた「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」は、機械式時計復興を推進した名作として時計史に刻まれているが、以降パーペチュアル・カレンダーは、IWCを象徴する複雑機能とされてきた。
4桁の西暦表示や南北両半球の高精度ダブルムーンフェイズなどを搭載し、リューズ一つで複雑なカレンダー機能の調整が可能という利便性も評価が高い。両モデルとも約7日間ものロングパワーリザーブを持つ自社製ムーブメントが搭載され、信頼性の高さは折り紙付きだ。
腕時計の完成度のみならず、企業としての哲学や姿勢も注目を集めている。以前から、全モデルを必ず修理するという永久保証を約束していることや、CSR活動に積極的なことが支持されてきたが、これに加え、通常2年の国際保証を8年にまで延長するオンラインプログラム「MY IWC」を新たに導入。
2018年に新ファクトリーが完成し、技術態勢が一層充実してきた自信が、その背景にある。また、サステナビリティ委員会を設け、2年ごとの達成目標と長期的なロードマップを掲げ、社会的・環境的にプラスになる責任ある行動を発信している。
今やIWCの腕時計を身に着けることは、サステナブルなあり方に対する支持の表明でもある。
●IWC
TEL 0120-05-1868
※『Nile’s NILE』2021年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています