
北海道小樽市は、静かな雪景色と「Love Letter」などの映画の舞台として知られる観光地で、特に冬になると多くの観光客が訪れる。しかし近年、観光客のマナーや安全を巡る問題が深刻化しており、市は対応を迫られている。
小樽市で最近発生した事故では、香港から訪れた61歳の女性が線路上で写真を撮影中に列車に轢かれ、命を落とした。この事故を受け、市は観光客の安全確保と迷惑行為防止のための取り組みを強化。観光名所である船見坂には警備員を配置し、道路への立ち入りやゴミのポイ捨てなどの禁止を徹底する看板を設置した。違反者には罰金が科される。
特に春節の時期には中国人観光客が増加するため、警備員は英語、中国語、韓国語で観光客に注意を呼びかけているが、これは特定の国籍に対応したものではなく、全体的な観光客の増加への対策だという。近年、小樽市では外国人観光客が急増しており、昨年の外国人宿泊者数は9万8,678人と過去最高を記録した。札幌からの日帰り観光客を含めれば、実際の訪問者数はさらに多いと見られる。
小樽市だけでなく、日本各地でオーバーツーリズム(観光公害)が問題となっている。山梨県富士河口湖町では、富士山を背景に写真を撮影する観光客による混雑と迷惑行為が問題となり、一時的に撮影スポットの視界を遮るための幕を設置した。また、山形県の銀山温泉では昨年12月からピークシーズンの日帰り客を制限する措置が取られた。これらの観光地では、伝統的な景観の保護や住民の生活環境の維持が大きな課題となっている。
さらに、観光客の急増に対応するため、富士山や姫路城などでは入山料や入城料の値上げが提案されるなど、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが全国的に進められている。