CYRUS Genèveのもう一つの特徴は、2つのリューズが3時と9時の位置にあるにもかかわらずケースが10気圧防水であることです。リューズは水や湿気の侵入を避けるために確実に保護しなければいけません。「KLEPCYS」コレクションでは、この重要なディテールに配慮した二重の保護が施されています。
くり抜かれた文字盤からは、美しい3D構造が見え、Cyrusの工房で設計・制作されたこの革新的なメカニズムの心臓部を間近に見ることができます。ディテールに赤とエレクトリックブルーのカラーリングを施すことで、クロノグラフ機能が読み取りやすくなっています。ぱっと見ただけでも、コラムホイール、3時位置のクロノグラフカウンターの針、中央のクロノグラフ秒針、フランジの分表示、2つのクロノグラフを別々に作動させるモノプッシャーボタンがあるのがわかります。2つずつのクロノグラフ針と秒針は上下対称に配置され、リセットすると秒針が12時(赤)と6時(ブルー)に戻ります。
スタイルのバランスをとるために、スモールセコンドは分積算計とシンメトリックに9時位置に配されています。針はCyrusのロゴを思わせる独特のプロペラ形の3本アームで、先端に発光塗料が施されています。スモールセコンドにも30分積算計にも反射防止加工のスモークサファイアガラスが使用されており、鮮やかな赤に塗装されたブリッジで強調されています。
スケルトンタイプの針はロジウムコーティングと発光塗料で仕上げられており、独特の形の反射防止加工サファイアガラスのリング上で時間を表示します。リングには立体感のあるアラビア数字が配され、数字にも発光塗料が施されていて、青い光を放ちます。このような透明部品を使うことで、高級時計の傑作を動かしているこの素晴らしいムーブメントを遮られることなく見ることができるのです。
「KLEPCYS DICE RACING」には、毎時振動数28,800回の自社製自動巻キャリバーCYR718が使われており、シングルバレルながら55時間のパワーリザーブを保証します。使用パーツの数は443個で、そのうち218個が独立ダブルクロノグラフのものです。このすべてが厚さ16.5 mmのケース内に収まっています。ケース内に2つのクロノグラフモジュールを支える2つのメインプレートがあることを考えれば、かなりコンパクトな厚さです。メインプレートはブラックPVD処理、マイクロビードブラスト仕上げです。
夥しい数のパーツでできたムーブメントをコンパクトなケースに収めることは、ジャン-フランソワ・モジョンが挑んだ数々の難題のうちの一つでした。