現在「ジャズ喫茶」の影響を大きく受けているのは海外です。17年ごろから日本のジャズ喫茶にインスパイアされたリスニングバーが海外に増え、これをビジネスと考える人たちが世界中に広がっています。高級オーディオでレコードをかけるというスタイルが店に付加価値を与え、アッパーな客層をつかまえる有効な手段になると捉えているようです。
日本の状況については、ジャズ喫茶や、ジャズを中心としつつもジャズに限らず、いろんなジャンルを流す店をやってみたいという人たちが間違いなく増えています。これからはジャズ喫茶的な「オーディオにこだわった店」が増えるのではないかと思います。日本でも海外でも共通するのは、これまでは興味の対象がレコードやCDなどの音源であったのが、これからは「良い音を聴く」ということへの関心が高まっていくのではないかと思います。
楠瀨克昌 くすのせ・かつまさ
1959年生まれ。『GQ Japan』など雑誌編集者として約30年勤務後、2012年に名古屋に移住、出版社JAZZ CITY LLCを設立。19年よりジャズ喫茶やレコード文化に特化した雑誌『ジャズ喫茶案内』『#VINYL』や写真集『JAZZ KISSA 2014』『JAZZ KISSA 2015-2019』などを刊行。世界約50カ国の書店、レコードショップなどにディストリビュート中。
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※『Nile’s NILE』2024年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています