そして近年、創業者の長男であり現社長の保科卓氏により、同社における環境への取り組みは躍進を続けている。その一つが、2022年から開始したアップサイクル製品の販売だ。さまざまな事情で手放される家具を廃棄することなく生かしたいと考え、下取りした自社のソファをメンテナンスして再販売することに。また家具の張り地となるレザーやファブリックにはどうしてもハギレが生じる一方で、品質にこだわる同社の張り地はヨーロッパ製を中心とした高品質なものばかり。そこで13年に「アルフレックス エコプロジェクト」を発足し、ハギレでバッグやコースター、ルームシューズといった小物を作ることに。これまではイベント時を中心に活用してきたが、23年に「アルフレックス リストア」をオープンしたことをきっかけに、継続的な販売をスタートした。
このリストアは、東京・二子玉川にオープンした新たなかたちのコンセプトショップだ。前述のアップサイクル製品や展示品のアウトレット販売を行うほか、メンテナンス相談ができる窓口も設け、同社が大切にする「長く安心して使える家具づくり」を体現している。
時代に応じた新たな拠点を設ける一方で、未来を見据えたサステナブルな素材の追求にも力を入れる。素材メーカーと共同で、ポリプロピレンからなる再生可能な編成樹脂網状構造体を家具に使用できるよう開発し、今秋に発表した新作ソファ「A・SOFA es」で初めて採用。これは1986年から続く「A・SOFA」を進化させたもので、デザインや掛け心地はオリジナルのままとしながら、体積比の約45%に再生可能素材の使用を実現。将来のメンテナンス時には、消耗した該当パーツを自社で回収し、原料に返還。その原料で再び新たなパーツを生み出す循環システムを構築している。
そのほか、配送トラックによる二酸化炭素排出量を軽減するため、長距離輸送には鉄道コンテナの利用に移行。製造過程による環境負荷を抑えるべく、北海道旭川市にある家具工場を、雪を冷却資源としたり、太陽光発電を活用できる施設へと生まれ変わらせる計画を進めている。
環境へ配慮することは、人の本質的な心地良さや豊かな暮らしにつながると考えるアルフレックスジャパン。未来を見据えて多方面から持続可能な取り組みを行う同社の動向は、今後も目が離せない。
●問い合わせ
アルフレックスジャパン TEL 0120-33-1951
www.arflex.co.jp
※『Nile’s NILE』2023年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています