ウォッチズ&ワンダーズ後の5月には、ポラリスコレクションの新作がべールを脱いだ。
1960年代後半に製造されたアラーム搭載の歴史的ダイバーズウォッチ「メモボックス・ポラリス」。中でも完成度の高かった68年製モデルを着想源に、2018年にビンテージ感を漂わせつつ、スポーティーエレガントなコレクションにモダナイズされ、ラインアップに加わった。
今回の話題は、まずメゾンが誇るトラベルタイム機構を搭載した「ポラリス・ジオグラフィーク」の登場だろう。デュアルタイムに加え、世界24タイムゾーンと第2時間帯表示が連動する機能は、旅行者にとっても、グローバルに活躍するビジネスマンにとっても利便性が高い。
新色のオーシャングレーのグラデーションダイヤルは、曇り空を映す海を彷ほう彿ふつさせる神秘的な色合いが趣深い。部位ごとにオパーリン、グレイン、サンレイブラッシュと異なる仕上げを施し、35層ものラッカーコーティング後に研磨仕上げを経てようやく完成に至る。手間暇をかけた美しさと、技術力に裏付けられた機構とが見事に融合した。
同様の工程による、繊細なグリーンのグラデーション仕上げのラッカーダイヤルを採用したのは「ポラリス・パーペチュアルカレンダー」のニューバージョン。「ポラリス」のシグネチャーである2時位置のリュウズで操作するインナーベゼルを備えたピンクゴールドケースにグリーンが絶妙に映え、エレガントなプレステージ感を醸し出す。
2モデルとも、インターチェンジャブルシステムによりストラップを付け替え、異なる表情が楽しめる。ジャガー・ルクルトの中で最も知られたタイムピースと言えば、ケースを反転させる画期的なシステムを採用し1931年に誕生した「レベルソ」だろうか。インド駐在のイギリス人将校の依頼で、ポロ競技中に風防や文字盤を守るために開発されたことは、今なお語り草だ。黄金比に基づくフォルムに、アールデコの意匠をまとった「レベルソ」は、その後90年以上にわたり進化を重ね、人々を魅了し続けてきた。
2023年に発表された「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」は、オリジナルをオマージュしつつ、最先端技術を凝らした逸品。表ダイヤルは初期型のデザインコードを踏襲した端正な2針仕様。サンレイ仕上げのブラックダイヤルを採用する。ケースを反転させると、サファイアバック越しに、精緻な機構が姿を現す。時分針と同軸上にクロノグラフ秒針、6時位に半円状のレトログラード式30分積算計を備え、ブリッジのコート・ド・ジュネーブ装飾も美しい。「レベルソ」がデビューした当時は、女性の社会進出が始まった時代でもあり、当初から女性ユーザーも強く意識されてきた。「レベルソ・クラシック・スモール・デュエット」は、その伝統を今に受け継ぐ一本だ。
ケースからブレスレットまでフルゴールド仕様。表は上品なクラシックさ、反転させるとつややかでドレッシーな雰囲気。二つの異なる表情が、品格だけではないミステリアスな奥行きを感じさせる。
ペア使いの可能性も「レベルソ」の魅力だろう。歴史性、エレガンス、技術力が一体となった「レベルソ」に、二人の時間までも重ねてみたい。
– 精度のパイオニア- 展
ジャガー・ルクルトが「精度のパイオニア」と題したイベントを伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージにて開催。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024で発表された新作と最新のコレクションがいち早くお披露目される。
ザ・ステージでは、時計のディスプレイを始め、細部に至るまでウォッチズ&ワンダーズの会場を再現。創業者のアントワーヌ・ルクルトが1844年に発明した、ミクロン単位での計測が可能な世界初の測定器、ミリオノメーターなど貴重なアイテムのレプリカも展示される。また専任時計師も来場し、セッションを行う。
期間中、時計を購入された人にはすてきなプレゼントも用意。時間、詳細はLINE公式アカウント(page.line.me/669fagnb)にて確認できる。
会期●7月10日(水)~ 16日(火)10:00 ~ 20:00
場所●伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
専任時計師来場日●7月10日(水)、12日(金)、13日(土)、14日(日)、15日(月)
問い合わせ●ジャガー・ルクルト
TEL 0120-79-1833
www.jaeger-lecoultre.com
※『NILE’S CODE』Vol.27に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています