ジャガー・ルクルトはウォッチズ&ワンダーズの会場に往時の鍛か冶じ場にインスパイアされたブースを設営し、1833年の創業以前のメゾンのルーツにオマージュを捧げた。
創業者アントワーヌ・ルクルトの10代前の祖先ピエール・ルクルトが、宗教改革の最中、ジュネーブへと逃れた後、ジュウ渓谷にたどり着いたのは1559年と伝わる。鉄や木材などの天然資源が豊富で、鍛冶場を中心とする冶や 金きん産業が盛んになりつつあったこの地で、ルクルトファミリーは代々その発展に尽力してきた。
アントワーヌ・ルクルトは、優れた鍛冶職人だった父ジャック・ダヴィドから16歳の時に冶金技術を学び始め、1833年に時計製造工房を興す。その3年前にはすでにピニオンの歯をかつてない精度で切削する工具を完成させ、1844年にはミクロン単位での計測が可能な世界初の測定器、ミリオノメーターを開発。この二つは、その後の時計製造業全体の進化に寄与していく。16世紀以来のジュウ渓谷におけるルクルト家の伝統である「精度」へのこだわりが、脈々と受け継がれてきたのが分かる。
今年、ジャガー・ルクルトは「精度のパイオニア」をテーマに掲げた。時計の正確性を向上させる「計時性能の精度」はもちろん、微細なコンポーネンツまでもこのうえなく精密に仕上げ、精せい緻ち に組み上げる「製造の精度」にも力を注ぎ、今やシリンダー型や球体型の特殊なヒゲゼンマイ、さらに多軸トゥールビヨンとして知られるジャイロトゥールビヨンなども開発し、「調速機構の精度」「複雑機構の精度」についても、他の追随を許さない高みに達している。
そのプライドを、2007年に発表したデュオメトル機構に再解釈を加えた新作で示した。デュオメトルとは、時刻表示用とそれ以外の機能用に独立した二つの輪列と香箱を備え、複雑機能の作動中にも時刻表示の動作精度を保証する、「精度のパイオニア」ならではの機構だ。
「デュオメトル・ヘリオトゥールビヨン・パーペチュアル」は、メゾン初の3軸トゥールビヨンを搭載し、かつてない複雑で優美な動きが目を楽しませる。「デュオメトル・クロノグラフ・ムーン」は、6分の1秒計測が可能なクロノグラフとムーンフェイズを備えた新開発キャリバーを搭載する。カレンダーとムーンフェイズを搭載した「デュオメトル・カンティエーム・ルネール」は、デュオメトルとしては初となるスチールケースが採用されている。
また、メゾンを象徴する一つであるマスターコレクションからは、「マスター・ウルトラスリム・パーペチュアルカレンダー」の新作4モデルも登場。中でもピンクゴールドケースにミッドナイトブルーのグラデーションダイヤルを組み合わせたモデルは、つやめいたエレガンスが際立っている。それでいて、時分針の軸のすぐ上に設けた小さな開口部に、時刻やカレンダー調整してはならない時間帯を示す機構も備えている。「精度のパイオニア」としての配慮が、そんな細部にまで行き届いている。
精度のパイオニアとしての矜持
4月に開催されたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024で、ジャガー・ルクルトは「精度のパイオニア」をテーマに掲げた。1833年にアントワーヌ・ルクルトによって創業されて以来、精度の追求は常にメゾンの中核をなす価値観であり続けてきた。その矜持を、デュオメトルとマスターコレクションの新作に見いだす。併せて、5月に発表されたポラリスの新作、メゾンのフラッグシップたるレベルソの逸品も紹介し、これまでの足取りを踏まえ未来へと向かう、ジャガー・ルクルトの現在地を確認する。
4月に開催されたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024で、ジャガー・ルクルトは「精度のパイオニア」をテーマに掲げた。1833年にアントワーヌ・ルクルトによって創業されて以来、精度の追求は常にメゾンの中核をなす価値観であり続けてきた。その矜持を、デュオメトルとマスターコレクションの新作に見いだす。併せて、5月に発表されたポラリスの新作、メゾンのフラッグシップたるレベルソの逸品も紹介し、これまでの足取りを踏まえ未来へと向かう、ジャガー・ルクルトの現在地を確認する。
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