持続可能な未来への時を刻む

1868年の創業以来、「永久」を意識し続けてきたウォッチブランド、IWC。時計業界の中でも環境に配慮した活動に積極的なスタンスを見せている。その取り組みを紹介しながら、旗艦的な存在である「永久カレンダー」搭載モデルに託された、サステナブルな未来への思いを共有する。

Text Yasushi Matsuami

1868年の創業以来、「永久」を意識し続けてきたウォッチブランド、IWC。時計業界の中でも環境に配慮した活動に積極的なスタンスを見せている。その取り組みを紹介しながら、旗艦的な存在である「永久カレンダー」搭載モデルに託された、サステナブルな未来への思いを共有する。

ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー42
4桁の西暦表示に代えて、9時位置のサブダイヤル内の小窓に閏年表示を設けた永久カレンダーモデル。6時位置のムーンフェイズは577.5年に1日の誤差しか生じない高精度を誇る。従来よりやや小ぶりな直径約42㎜のステンレススチールケースに、自社製自動巻きキャリバー82650を搭載。日常的に使いたい永久カレンダーモデルである。「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー42」自動巻き、ケース径42.4㎜、SSケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、3,162,500円。

永久の愛、永久の平和、永久に続く世界……。実現が困難ゆえ人は「永久」に憧れを抱き、「永久」を具現化しようとする営みに心を動かされる。 

腕時計の世界には「永久カレンダー」という機構がある。閏年の2月末を含め、大の月、小の月の日数を自動的に判別し、日付修正を必要としない機能を言う。この「永久」の実現には複雑な設計、精緻を極めた組み立て、忍耐を要する調整が求められ、熟練技術者でなくては生み出すことができない。「永久」がリスペクトされる一つの例と言えるかもしれない。

IWCは1985年に「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」を発表以来、永久カレンダー機構のスペシャリストのポジションを守り続けているが、実は「永久」への取り組みは1868年の創業当初から始まっていた。創業者F・A・ジョーンズは、質実剛健で実用性に優れ、タイムレスで洗練されたデザインの時計製造を掲げた。その精神を受け継ぎ、IWCは現在も全モデルに対して必ず修理する永久保証を約束している。オンラインプログラム「MY IWC」に登録すれば、国際保証を8年まで延長することも可能だ。

こうした企業DNAを持つIWCが、持続可能な社会の実現に向けた活動に取り組むことは自然な流れだった。10年以上前からローレウス・スポーツ・フォー・グッドやセーブ・ザ・チルドレンなど、世界中の組織とのパートナーシップを締結し、より良い社会の実現に尽力。2017年には、20年までの持続可能な活動目標を初めて設定し、温室効果ガスの削減や、時計に使用する金とプラチナが追跡可能で、責任を持って調達されていることを証明する認証の取得などに取り組み、2年に1度、サステナビリティレポートを公開してきた。この7月末にその第4版を公開し、欧州の森林から持続可能な方法で調達された植物由来の繊維を80%以上使用した紙を原材料とするTimberTex™ストラップの発売や、本社と店舗で使い捨てプラスチックを撤廃などの成果、また22年度末までにFSC(森林管理協議会)認証を取得していない紙、木材などの林産物の購入を段階的に廃止、20年比で年間の企業ボランティア活動時間の倍増などの目標を改めて示した。

TimberTex™に続くものとして、低炭素で石油化学製品やプラスチックを一切含まないリサイクル可能なバイオベース材料MIRUM®を使用したMiraTex™ストラップを開発。またサステナビリティレポートの公開を隔年から毎年に変更することも表明した。そして大きな話題として、サステナビリティと環境保護に取り組むスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンをブランド初の環境・コミュニティプロジェクトアドバイザーに迎えたことも発表された。

創業以来「永久」を意識し、そのDNAのもと持続可能な未来につながる活動に積極的な取り組みを展開するIWC。そのタイムピースを手にすることは、彼らが掲げる意識や価値観を共有することにほかならない。とりわけ、旗艦的存在である「永久カレンダー」搭載モデルを腕に巻くとき、その思いは一層強いものになるに違いない。

ジゼルとともに進む持続可能な社会への道

世界を代表する数々のファッションブランドのランウェーに登場し、グローバルキャンペーンの顔となり、1200を超える雑誌の表紙を飾ってきたブラジル出身のスーパーモデル、ジゼル・ブンチェン。2009年以来、国連環境計画の親善大使を務め、生物多様性と野生生物を保護する活動に取り組み、ハーバード大学とUCLAから表彰も受けている。IWC初の環境・コミュニティプロジェクトアドバイザー就任ついてジゼルはこうコメントしている。「地球保護という共通の目的のもとで、IWCとパートナーシップを組むことができ、大変うれしく思います。私たちは、もっと多くのことをする責任があるという認識に立って、持続可能な未来への道を歩み始めました。私たちの声と影響力を利用すれば、環境と社会にプラスの影響を与えることができると思います。IWCと協力し、次世代のためにより良い未来を残すお手伝いができることを楽しみにしています」

●IWC TEL0120-05-1868

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。