守る、変化する、続いていく

1949年の創業以来、日本最古のインド料理専門店として多くの人々に本場のインド料理を広めてきたナイルレストラン。銀座の街とともに進化を重ねてきたこの店の3代目店主に話を聞いた。

Photo Masahiro Goda  Text Mizuki Ono

1949年の創業以来、日本最古のインド料理専門店として多くの人々に本場のインド料理を広めてきたナイルレストラン。銀座の街とともに進化を重ねてきたこの店の3代目店主に話を聞いた。

  • 守る、変化する、続いていく ナイルレストラン 守る、変化する、続いていく ナイルレストラン
    創業当初から変わらない「ムルギーランチ」。
    ごろりと入った大きなチキンの骨を、スタッフが目の前で外してくれるパフォーマンスも。
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    インド・ゴア州の五つ星ホテルで修業した後、約25年間3代目として店に立つナイル善己さん。
    店舗2階の壁画「クリシュナ神と牛飼い女、ゴーピーたち」(千葉迦陵作)の前で。
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    インドのピンクシティをイメージして、ピンクに塗られた壁面。
    飾られている小物や絵画も、インドらしいもので統一されている。
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    若者に人気の「チキンマサラ」は、凝縮されたうまみとスパイスの辛みがやみつきになるおいしさ。
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当時の銀座といえば、有楽町に本部を持つGHQの関係者やアメリカ兵が多く出入りする場所だった。彼らから少しずつうわさが広がり、日本にもインドの料理や文化が根付いていったのだ。

創業当時から変わらない定番メニューの一つに、「ムルギーランチ」がある。骨つきの鶏もも肉が入ったカレーにイエローライス、キャベツとポテトの炒め物が添えられたワンプレートだ。これは、南インドのローカル料理「ミールス」が発想の元になっているのではないかと善己さんは指摘する。「ミールス」とは、ライス、カレー、6〜7種類のおかずが1枚の大きな皿にのせられた定食だ。当時、限られた食材しか手に入らない中でもインド文化を日本に伝えたいという初代の思いが伝わってくるようだ。レシピは当時から変わっていない。ただ、昔と比べて今は食材もスパイスもいいものが手に入るので、少しずつアップデートしているのだという。

「伝統を守ることと、時代に合わせて変化していくことの両立は難しいですが、そもそも銀座自体が古典文化と最新のトレンドが共存している街。そんな街の空気を背負って店に立っている店主同士のつながりも強いので、支え合いながらみんなで時を重ね、成長しているという実感があります。これからも街は大きく変わっていくのでしょうが、守るものは守り、変えるところは変え、進化しながら続けていきたいです」

●ナイルレストラン
東京都中央区銀座4-10-7 TEL 03-3541-8246
営業時間 平日11:30 ~ 21:30 日曜祝日11:30 ~ 20:30 
火・第1第3水曜休み
www.ginza-nair.com

※『Nile’s NILE』2025年5月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。