風土・風景ごと食す

「能登にはまだまだ知らない食材がある」と言う平田明珠氏は、日々、野山や海辺を歩き、地元の人々と交流する。その中で、“眠っている食材”を発見しては、風土・風景をも盛り込んで料理する。「自分にしかできない“能登料理”」をどこまでも追求する料理人である。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

「能登にはまだまだ知らない食材がある」と言う平田明珠氏は、日々、野山や海辺を歩き、地元の人々と交流する。その中で、“眠っている食材”を発見しては、風土・風景をも盛り込んで料理する。「自分にしかできない“能登料理”」をどこまでも追求する料理人である。

ヴィラ・デラ・パーチェ
器は「浜辺に打ち上げられていた石を拾ってきたもの」とか。イカ料理があたかも海の底にたゆたう生き物のようだ。

店を開いて4カ月ほど経った頃、客足がガクンと落ち、平田明珠氏は能登で作る料理と対峙したという。

「最初は能登の食材を使って、今まで学んできたイタリアの郷土料理を作ることにこだわっていました。能登の食材はものすごく良いのに、なかなか遠方からの客足が伸びない。店が暇で時間はたっぷりあったので、RED U.35という若手料理人の大会に出ることにしました。結果、トップ20には入れたものの、上位者とは料理人個人としての差を強く感じました」

「どれだけ良い食材があり、いい生産者がいても、それをただ料理に落とし込むだけでは外から人は呼べない。それからです、能登の豊富な里山・里海の自然の恵みや、独自の食文化、そして自分の料理人としての個性を見つめ直そうと思ったのは」

「実際に能登の食文化を料理に取り入れるには、熟鮓や魚醤などの発酵文化、海女さんが獲る海藻類、市場で流通しない地元のおばあちゃんが山で採ってくる山菜やきのこ、これらはすべて欠かせないものでした」

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。