料理には必ず時間がついてまわる。他のクリエーティブな作業と違い、タイミングを逸すればその料理は成立しなくなるという、料理的時間が存在するのだ。料理人の頭の中にある完成形は、その料理的時間を計算しながら具体化していく
客の前に出される料理とは、蝉が地上に出て羽化するように、料理的時間を経てテーブルの上に供されるものなのだ。当然、食べる側も料理的時間の中に組み込まれている、と考えるべきなのである。最もおいしい時が、出されたその時であるとするなら、まず料理を愛でながら味わうべきだ。
平成から令和、「食べる前に撮る」から「撮る前に食べる」に変わっていけば面白い。
令和を食べるⅡ 目次
※『Nile’s NILE』2019年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています