
料理には必ず時間がついてまわる。他のクリエーティブな作業と違い、タイミングを逸すればその料理は成立しなくなるという、料理的時間が存在するのだ。料理人の頭の中にある完成形は、その料理的時間を計算しながら具体化していく
客の前に出される料理とは、蝉が地上に出て羽化するように、料理的時間を経てテーブルの上に供されるものなのだ。当然、食べる側も料理的時間の中に組み込まれている、と考えるべきなのである。最もおいしい時が、出されたその時であるとするなら、まず料理を愛でながら味わうべきだ。
平成から令和、「食べる前に撮る」から「撮る前に食べる」に変わっていけば面白い。
令和を食べるⅡ 目次
龍吟 山本征治
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「文化庁公布、文化芸術基本法の第十二条の中に、一昨年初めて食文化が追加されました。料理人の誰かを担ぐのではなく、その人が担いでいる日本料理が、世界にアピールできるものになることが理想。そして、じゃあ、本物の日本料理はどこで見つかるのかと聞かれた時に、この店だ、と言われる場所でありたいのです」銀座 小十 奥田透
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「このままではこの国が何なのかわからなくなってしまう。もう一度、節句や祭りを料理にうつし、きちんと伝えるべきだと。それは和食にしかできないことです。昔は料理人も西欧の料理を学びに外に出ました。でもこれからは、日本料理やすし、そばを、外国に持って出てもらいたい。そうすることで、器や包丁、建築などの文化も運ばれます。それがこの国のすばらしさを表現する、令和の料理だと思うのです」ナベノ-イズム 渡辺雄一郎
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「最初は僕の新しい料理スタイルに、アレルギー反応を起こす方もいました。でも、例えば僕が毎日作っているそばがきとキャビアの料理でも、昔ながらのフランスのキャビアの食べ方が潜んでいるのです。突拍子もないことをやっているのではなく、あくまでフランス料理。その中で、次世代に残っていく、自分らしい料理を追求していきたいと思っています」茶禅華 川田智也
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「お茶は不思議な飲み物。魔法のように胃腸をすっきりさせ、心身を整えてくれるのです。これからの時代、おいしさと健康の両立した料理が必要とされると思います。そのヒントが中国茶、中国料理にはたくさん詰まっていると思います」料理人たちの昭和の味、平成の味
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茶禅華 川田智也さん、龍吟 山本征治さん、ナベノ-イズム 渡辺雄一郎さん、銀座 小十 奥田透さんに、思い出の昭和の味、平成の味を伺った。
※『Nile’s NILE』2019年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています