さまざまな地産地消

その土地でとれた食材を使い、料理し、食べる。歴史の中で当たり前のように実践されてきた地産地消が、改めて注目されている。都市のレストランではどのようにこれを取り入れているのか? 三人のシェフにうかがった。

Photo Masahiro Goda. Hareko Amakata  Text Izumi Shibata

その土地でとれた食材を使い、料理し、食べる。歴史の中で当たり前のように実践されてきた地産地消が、改めて注目されている。都市のレストランではどのようにこれを取り入れているのか? 三人のシェフにうかがった。

東京都西部の農家
東京都西部は農家が多い。川田さんが烏骨鶏を仕入れた立川市の「伊藤養鶏場」もこのエリア。
  • 北海道北斗市
    北海道・北斗市は、江戸時代からの北海道の歴史を語る地。松前藩の陣屋跡は国指定の史跡だ。
  • 道南の厚沢部町
    道南の厚沢部町。「ジェットファーム」のグリーンアスパラガスは菊地さんの毎年の楽しみ。
  • 小田原漁港
    小田原漁港。日本は魚食の国。魚の丁寧な処理やスピーディーな流通は、世界随一。
  • 小田原城址公園
    小田原城址公園は市の象徴。ファンティンさんお気に入り「さんの水産」は小田原漁港にある。

少し歴史をふり返ると、現在のローカルガストロノミーの開花につながる動きは2000年前後から始まったと言える。それは、「日本の素材を用いた、日本らしいフランス料理やイタリア料理を作ろう」という動きの勃興(ぼっこう)。フランスやイタリア現地の素材を輸入し、現地そのままの料理を目指すそれまでのガストロノミーのあり方から大きく舵(かじ)がきられたのだ。この流れで、シェフたちは上質な農畜産物や魚介類を求めて地方の畑や漁港を訪れ、素材を産直で仕入れるように。小規模で、納得のいく素材を、自然栽培や有機栽培で育てる意欲の高い生産者が増えたことも、この流れを後押しした。つまり、シェフと生産者がコミュニケーションを直接とり、信頼関係を築くようになったのだ。シェフたちが「産地に近い自然豊かな場所で、思いきり料理をしたい」と考えるようになったのも当然といえよう。

都会のレストランもこの流れを受け、今の時代らしい地産地消を表現している。今回取材した三人のシェフもその実践者。彼らの地産地消に対する思いと、地域の素材との向き合い方を見てみよう。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。