料理人たちの昭和の味、平成の味 Ⅰ

料理人たちにとっての「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、神田裕行さん、飯塚隆太さん、岸田周三さん、小林武志さんに伺った。

Photo Masahiro Goda. Haruko Amagata 

料理人たちにとっての「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、神田裕行さん、飯塚隆太さん、岸田周三さん、小林武志さんに伺った。

小林武志
赤坂 桃の木(御田町 桃の木)

桃の木 小林武志氏

子供の頃の一番のごちそうは、祖母が作ってくれたそばです。そば粉10割で手打ちした真っ黒いそばなんだけど、ものすごくおいしかったから思い出の味になっています。そして辻調理師専門学校で学ぶために、大阪に出て知った味といえば、うどんやタコ焼きといった“粉物”です。地元の愛知で食べていたうどんやタコ焼きとは、次元が違うおいしさを感じました。たとえば大阪のうどんは、駅のホームとかどんな場所で食べても本当においしかったですね。
平成に入って料理店で働くために東京に上京してからは、“昭和の北京料理”ばかり食べていました。吉祥寺の「知味 竹爐山房」で働いていた時、休みの日も仕込みをしに店に行っていましたが、お昼までに仕事を終わらせて、荻窪の「北京遊膳」によくランチを食べに行っていました。それが修業時代の唯一の楽しみ。どの中華料理店にもあるようなメニューがそろっていて、何でもおいしかったけれど、僕はあんかけ焼きそばを好んで食べていましたね。
ここ数年は、アジア各地の中国料理店に食べに行く機会が増えて、中国本土や台湾の店で、バターやオリーブオイル、山葵、ポン酢、焼肉のタレといった調味料を普通に使っているのを見て、ある意味“衝撃”を受けましたね。

●小林武志
赤坂 桃の木(御田町 桃の木)

小林武志さんの想う「令和の味」
封印を解く

※『Nile’s NILE』2019年5月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。