京都
雨上がりの京都には、強い日の光が容赦なく照り付けていた。遠景に広がるのは大きな青空。上賀茂神社の神主など、神職の住宅が集まる社家町に、田鶴均さんの自宅がある。瓦屋根付きの立派な門構えは、少しずつ修繕を重ねつつ、200年以上の歴史を刻んでいるという。周囲の家々も、古い日本家屋が多い。そんな穏やかな街並みから車で15分ほどの位置にあるのが、“田鶴農園”だ。
「昨日ずっと大雨やって、急に暑くなるとかないません。もっと本当はきゅうりがシャキッとしているんだけど、きゅうりも人間と一緒ですね」
雨よけのシートを直しながら、はにかむ田鶴さん。代々、この地で農業を続ける家系に生まれた彼は、高校を卒業したのちに農園を継いで、野菜作りは今年で40年近くになる。
田鶴さんが作っているきゅうりは2種類。ひとつは一般的な緑色のきゅうり。そしてもうひとつは、色白でひょろりと長い “あさかぜきゅうり”だ。