なお、カウンター奥の壁の棚は、あえて元麻布の店を彷彿とさせるデザインとしている。盟友にして若くして亡き人となった前店の設計者の造形を引き継いだ。
この空間で、神田さんはあと12年間カウンターに立つ予定だという。
「今私は58歳。現代は70歳まで現役という時代」と話す。「12年は約4400日で、そのうち休みの日もあるから営業できるのは3000日くらいでしょう。人生は有限。その中で精一杯のことをやろうと思っています」
神田裕行 かんだ・ひろゆき
1963年、徳島県生まれ。大阪などでの日本料理修業を経て、23歳で渡仏。パリの日本料理店で5年間料理長を務める。91年に帰国し、料亭で経験を重ねつつ、姉妹店の開業も指揮する。2004年独立。07年『ミシュランガイド東京』で三つ星を獲得。『日本料理の贅沢』(講談社現代新書)などの著書を刊行。21年ミシュランガイド「メンターシェフアワード」に選出される。22年2月、虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワーの1階に移転する。
●日本料理かんだ
東京都港区愛宕1-1-1
虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー1階
TEL 03-5786-0150
www.nihonryori-kanda.com
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