勇壮なる男たちの神事 ー諏訪大社ー

Photo   Text Rie Nakajima
勇壮なる男たちの神事 、諏訪大社、NilesNile4月号特集
古事記の中に、国譲りに反対して諏訪に訪れ、そこに国を築いたことが起源であると記されている。古くは風・水の守護神で五穀豊穣を祈る神、また武勇の神として広く信迎され、現在は生命の根源・生活の源を守る神として祀られている。

日本の神社は、古くから鎮守の森といわれる森に囲われていた。人々は神々とともに森そのものを崇拝し、大切にしてきたのである。

日本最古の神社の一つ、長野県の諏訪大社では、本殿を置かない代わりに、秋宮は一位の木を、春宮は杉の木を御神木として拝している。そして、7年ごとの寅と申の年に行われる最大の神事が御お ん柱ばしら祭だ。宝殿を造り替え、社殿の四隅に御柱と呼ばれる樹齢約200年の樅もみの巨木を曳ひき建てる。

山から切り出した長さ17mに及ぶ8本の巨木を、男たちが上社約20㎞、下社約12㎞にわたって曳く。熱狂をもって迎えるのは、諏訪大社の氏子20万人と観光客。804年の桓武天皇の時代から続く、全国でも有数の勇壮さで知られた神事だ。

大社の御柱ののち、諏訪地方の各神社で小宮祭と呼ばれる御柱祭が行われる。ここでは今も、木が人々の信仰と深く結びついている。

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    重さ10tにもなる巨木を、木遣りに合わせて人力のみで曳く。4月の「山出し」と5月の「里曳き」があり、山出しでは巨木が坂を下る「木落し」や「川越し」が見せ場。里曳きでは長持ち、騎馬行列など時代絵巻が見ものとなる。
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※『Nile’s NILE』2024年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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