時空を超える衝撃

時代を超えて愛される普遍的なスタイルを生み出し、「モードの帝王」とたたえられたイヴ・サンローランの没後初となる日本での大回顧展が開催される。日本初公開のドレスなど110体のルックのほかドローイングや写真、映像などの貴重な資料から、その類いまれな人生と世界に衝撃を与えたクリエーションの全貌に迫る。

Text Rie Nakajima

時代を超えて愛される普遍的なスタイルを生み出し、「モードの帝王」とたたえられたイヴ・サンローランの没後初となる日本での大回顧展が開催される。日本初公開のドレスなど110体のルックのほかドローイングや写真、映像などの貴重な資料から、その類いまれな人生と世界に衝撃を与えたクリエーションの全貌に迫る。

  • イヴ・サンローラン、1984年秋冬オートクチュールコレクション
    1984年
    イヴニング・アンサンブル
    1984年秋冬オートクチュールコレクション
    ©Yves Saint Laurent ©Nicolas Mathéus
  • イヴ・サンローラン、1989年春夏オートクチュールコレクション
    1989年
    アンサンブル
    1989年春夏オートクチュールコレクション
    ©Yves Saint Laurent ©Alexandre Guirkinger
  • イヴ・サンローラン、1995年秋冬オートクチュールコレクション
    1995年
    イヴニング・ガウン。
    1995年秋冬オートクチュールコレクション
    ©Yves Saint Laurent ©Alexandre Guirkinger

また、生きた芸術に魅了され、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『昼顔』やジャン・コクトーの演劇『双頭の鷲』などさまざまな作品の衣装を手掛けている。多くのアーティストたちと交流し、ピカソやマティス、ブラックら過去の画家へのオマージュを作品として残した。1963年の来日をきっかけに、日本の文化や伝統工芸に魅せられたイヴ・サンローランと日本との関係は、資料を通してひも解く。本展では、そうしたイヴ・サンローランの興味や交流を表す多彩な世界を俯瞰することができる。

イヴ・サンローランの時空を超える作品は、現代も決して色あせることなく、見る者に衝撃と感動を与える。世界を揺り動かしたデザイナーの軌跡を、ぜひ目の当たりにしてほしい。

イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

会期:9月20日(水)~12月11日(月) 休館日:毎週火曜
会場:国立新美術館 企画展示室1E 東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
問い合わせ:TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)

初来日時のイヴ・サンローラン、1963年4月。©Droits réservés
初来日時のイヴ・サンローラン、1963年4月
©Droits réservés

※『Nile’s NILE』2023年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。