ロータス ヨーロッパS LX
スポーツカーやグランドツアラー、あるいはスポーティーサルーンでもいい。多くのラグジュアリーモデルはパワーを誇示し、エンジンが大きくなる傾向がある。しかしロータス・ヨーロッパSは違う。その対極に位置する軽量、小排気量のクーペだ。
ロータスといえば、かつては日本人初のF1ドライバーを迎え入れたチームを持ち、ホンダF1エンジンが築いた黄金期の一翼を担っていたメーカー。純粋なスポーツカーを作らせれば右に出るものがない。創立から今日まで、エンジンを他社からの供給でのみ賄うことで、そのぶん車体の開発に専念し、素晴らしいハンドリングを持つスポーツカーを次々と送り出してきた。まさにF1のやり方である。
その文法に則り、オペルの2リッターターボエンジンを搭載したクーペがロータス・ヨーロッパS、そしてそのラグジュアリーモデルがヨーロッパS-LXである。
スピーディに意のままに、快適に動ける
現在ロータスでラインナップされている車種、エリーゼとエキシージはワインディングロードやサーキットラン専用と思われるほどにタイトで、サスペンションやシートなど乗り心地に関わるものすべてが固い。乗りこむときにも、ドア開口部にある高々としたサイドシルを跨ぎ、狭く低い開口部に潜るように身を滑りこませなければならない。日常で使うにはタフな精神と肉体が必要だ。
一方、ヨーロッパSはベースとなるフレームこそエリーゼに由来するものの、全体によりマイルド。一番大きな違いはドア下のサイドシルで、低くなり、乗り降りがだいぶ楽になった。これでロータスのネガな要素は半分以上解消されたようなものだ。LXならばインテリアもレザーで覆われ、ドライバーに寛ぎを与えてくれる。磨かれた機能と快適性をも手にしたヨーロッパSLXは、地上のビジネスジェットといえないだろうか。速く、快適に、そしてパーソナルに移動できる最上のビジネスツー ルであると。