自由学園明日館は都心にありながらも、そこだけ別世界のよう。住宅街にあって際立つ、颯爽としたたたずまいだ。
ここは1921年に日本初の女性新聞記者として知られる羽仁もと子と吉一夫妻が、女学校として開校した建物だ。
夫妻の友人だった建築家の遠藤新が、当時帝国ホテルの設計のために来日していた師匠のライトを紹介したことで、建築が実現した。
ライトは自由と自治を尊ぶ学園の教育理念に深く共感し、設計を快諾したと伝えられる。
軒高を低く抑えて水平ラインを強調した立面といい、幾何学的な建具の装飾といい、大谷石を多用したところといい、まさにライトの作風を示す。
着工から1年後の22年には中央棟・西教室棟が完成したが、ライト自身はこの時点で帰国した。
東教室棟は遠藤が師の仕事を引き継ぎ竣工させた。当初の計画になかった講堂は遠藤による設計である。
学園は生徒数の増加により34年に東久留米市に移転。建物は97年に国の重要文化財に指定され、3年を要した大規模な保存修理工事の後、「動態保存」のモデルとして、さまざまな用途に使用されている。
⒣自由学園明日館
東京都豊島区西池袋2-31-3
TEL 03-3971-7535
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