現在、我々が用いているグレゴリオ暦が、ローマ教皇グレゴリウス13世によって施行されたのは1582年のことだ。
紀元前45年にカエサルが制定したユリウス暦では、奇数月は31日、偶数月は30日、2月だけを29日とし、4年に1度、閏年の2月は30日とされた。カエサルの後継で初代ローマ皇帝アウグストゥスは、自身の出生月の8月が小の月であることに憤慨し、2月から1日を奪い8月に加えたことは、皇帝の強権を示すエピソードとして知られている。
このユリウス暦に修正を加えたグレゴリオ暦では、4年に1度、閏年の2月は29日としながら、西暦年数が100で割り切れる年は平年で、かつ400で割り切れない年は閏年と定めている。
つまり2000年や2400年は閏年で、2100、2200、2300年は平年となる。何気なく使っている暦にも結構厄介なルールがある。ああ、忌々しき0.2442日‼
そんなルールに挑み、毎月の日数を自動計算し2100年3月1日まで日付修正の必要をなくした機能がパーペチュアルカレンダーである。設計の困難さに加え、理論上正確に作動するはずでも、複雑さを極めるこの機構は、全てのバランスを調整しながら、細心の注意を払って組み立てないことには動いてくれない。多くの腕時計師が、その難しさ故に、パーペチュアルカレンダーの虜になってきた。
A.ランゲ&ゾーネが1990年の復興後、初めて世に送り出したパーペチュアルカレンダーモデルは、2001年の「ランゲマティック・パーペチュアル」だった。
ランゲを象徴するアウトサイズデイトを12時位置に、各カレンダー要素を整然と配置。秒針のゼロリセット機能や、全てのカレンダー要素を同時に進めるメイン調整プッシャーなどを備え、ランゲの評価を改めて高めた。
その20周年を記念する新作が50本限定の「ランゲマティック・パーペチュアル」だ。精緻(せいち)を極めた初代モデルの機構はそのままに、ピンクゴールドのケース、インデックス、針、ムーンと、シルバー無垢のブルー文字盤とが、品格あふれる端正さを醸し出す。