「粋」を走る

日本橋といえば、粋の中の粋。「朝昼晩三千両の落ち処」と古川柳に詠まれたように江戸時代から、大金融、大散財の街であった。その日本橋の現在、過去、未来の“粋”を探しにエレガントなボルボV60で出かけた。

Photo TONY TANIUCHI Text Nile’s NILE

日本橋といえば、粋の中の粋。「朝昼晩三千両の落ち処」と古川柳に詠まれたように江戸時代から、大金融、大散財の街であった。その日本橋の現在、過去、未来の“粋”を探しにエレガントなボルボV60で出かけた。

日本橋室町野村ビルのファサードとボルボ
日本橋室町野村ビルのファサードは周囲の歴史的建造物と調和する自然石を使った重厚で深みのあるデザイン。周辺との一体感を演出した雰囲気のある建物と、洗練されたスカンジナビアン・デザインのボルボは、しっくりなじみ、美しい景観をつくり上げる。どちらも伝統と先進性を兼ね備えているからだ。

徳川家康が1603(慶長8)年に江戸幕府を開くと、城下町として急成長を遂げたのが日本橋である。全国各地から商人や職人が集まり、シンボルである「日本橋」が木造の太鼓橋として誕生したのもこの頃だ。その後、この橋を起点に五街道が整備されていく。また、水運に恵まれていたこともあり、多種多様な物質が集結・流通した。17世紀初めには日本橋と江戸橋の間、日本橋川の北岸に沿って魚河岸が開設され、1日に千両の取引があったといわれた。威勢がよく活気あふれる魚河岸は、1935年に築地に移転するまでの300年以上、日本橋のにぎわいの中心であった。

三井本館と日本橋三越本店の間を精悍な顔つきで走るボルボ
三井本館と日本橋三越本店の間を精悍な顔つきで走るボルボ。日本市場を重要視するボルボでは、立体駐車場に対応する1850㎜に車体幅を抑えるところから開発を始めたという。高層ビルはもちろんのこと、日本橋付近では立体駐車場に駐車しなければならないケースは多々ある。そんな時、ボルボのエステートが相棒なら安心だ。
  • 日本橋髙島屋の本館と新館 日本橋髙島屋の本館と新館
    日本橋二丁目地区に店を構える日本橋髙島屋の本館と、昨年の秋にオープンしたばかりの新館。「東洋趣味を基調とする現代建築」という設計案により建造された本館は、重厚な西欧様式。この百貨店建築初の重要文化財となった本館に調和するように建てられたのが、新館である。
  • コレド室町 コレド室町
    日本橋のにぎわいを再生する商業ビル、コレド室町。街区に面した通りは、暖簾や行燈をモチーフにした外装デザインに。老舗や名店が軒を連ね、町歩きの楽しさを演出している。また、コレド室町1とコレド室町2の間(仲通り)は、11:00~20:00の間車両通行止めにして、歩行者に配慮した都市空間づくりを実践する。
  • 麒麟像 麒麟像
    日本橋の真ん中には、青銅の彫刻「麒麟像」が堂々たる風格でたたずんでいる。この麒麟像は現在の日本橋ができるのと同時に誕生した。作者は、彫刻家の渡辺長男(おさお)。日本近代彫刻の父と呼ばれた朝倉文夫の実兄で、明治天皇騎馬像など、人物彫刻を数多く手がけた。ちなみに、日本橋の入り口にある獅子像も、渡辺の作品だ。
  • 日本橋髙島屋の本館と新館
  • コレド室町
  • 麒麟像

一口に日本橋といっても、実は日本橋室町のように「日本橋」とつく地名が21もある。中でも、日本橋の神髄といえるエリアが、現在の日本橋、日本橋室町だ。特に、都市再生特別地区内の指定を受けた日本橋室町東地区は、日本橋三越本店、三井本館といった歴史的建造物との調和を図りながら、日本橋らしい風情を残す、美しい景観をつくっている。具体的には、コレド室町や日本橋室町野村ビル、日本橋三井タワーなどの建物は、中央通りに面するファサードを、三井本館や日本橋三越本店にも見られる歴史的表情線(高さ100尺、31m)を尊重した連続的な美観を意識したデザインとしている。また、ファサードの素材や色彩も、自然石や重厚感があるものを選び、周囲の歴史的建造物と調和するような細やかな工夫がなされている。この歴史的な建築と現代的な建築の程よい共存が日本橋の粋を感じさせるのであろう。

福徳神社とボルボ
倉稲魂命(うかのみたまのみこと〉を主祭神とする福徳神社。平安時代にはすでにこの地に鎮座していたといわれる。隣には福徳の森がつくられており、都心のオアシス的な役割を果たしている。由緒ある神社の鳥居とコレド室町2、そしてスカンジナビアン・デザインのボルボV60は違和感なく、しっくりとなじむ。

この日本橋室町の都市再生計画で見事“復活”を果たしたのが福徳神社だ。由緒によるとこの神社は、貞観年間(859~876年)にはこの地に鎮座していたという。徳川家康を始め、歴代将軍からも厚く崇敬され、縁起のいい名前も相まって江戸時代には氏子である瀬戸物町や伊勢町の商人から絶大な信仰を集めた。ただ戦後の都市化の中で、神社の敷地が縮小され、ビルの屋上や一時は居酒屋の店内に神殿を構えていた時期もあった。

江戸時代、この福徳神社の南側の通りは浮世小路(うきよしょうじ)と呼ばれていた。“小路”と呼ぶのは、この地に屋敷があった町年寄、喜多村家の出身地、加賀の方言で発音されたからだ。そして、この浮世小路の東端北側には、古典落語の舞台となっている料亭「百川(ももかわ)」があった。落語「百川」は、主に東京で広く演じられ、六代目三遊亭圓生、十代目柳家小三治など多くの落語家が高座にかけた。料亭「百川」は、江戸屈指の料理茶屋として繁盛し、幕末にペリー艦隊が来航した際には、乗組員全員に本膳をすべて自前で提供したという粋な料亭。ただ、明治の初めに忽然と消え去り、謎に包まれた料亭でもある。

三井本館とボルボ
大理石を贅沢に使った華麗にして質実なアメリカンルネサンス様式の三井本館に、フロントグリルが堂々としていて気品高いボルボのエステートならその存在感は負けていない。車体側面はホイールハウス周りと、ドア下に強い抑揚がつけられ、アスリートの筋肉を思わせる。またラゲッジスペースは529リットルもあり実用的である。

街に息づく歴史や伝統、空気感をうまく残しつつ、未来へとつながる新たな「街づくり」に成功した日本橋。この街をブランドの伝統と、先進的なテクノロジーを兼ね備えたボルボV60で走ってみる。日本橋のどの風景ともしっくりなじみ、伝統の力は究極のイノベーションであることを認識させてくれる一瞬であった。

VOLVO V60 T5 Inscription
ボディー:全長4760╳全幅1850╳全高1435㎜
エンジン:2.0ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
インタークーラー付きターボチャージャー(ガソリン)
最高出力:187kW(254PS)/5500rpm
最大トルク:350N・m(35.7kg・m)/1500~4800rpm
駆動方式:FF
トランスミッション:8速AT
価格:5,990,000円

●ボルボ・カー・ジャパン お客様相談室 TEL0120-55-8500

※『Nile’s NILE』2019年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。