三つの霊場を参拝
高知ショートトリップの締めくくりは、やはり霊場がふさわしい。弘法大師空海が815(弘仁6)年に開創したと伝わる四国八十八カ所霊場のうち、高知には16の霊場がある。その道中は四国遍路の中でも難所とされ、「修行の道場」と呼ばれる。今回の参拝は竹林寺(ちくりんじ)、清瀧寺、青龍寺である。
竹林寺は、724(神亀元)年に僧 行基(ぎょうき)が開創。「中国の五台山に登り、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)から仏教の奥義を授かる」夢を見た聖武天皇(しょうむてんのう)の勅願を奉じて、五台山にも似たここに伽藍(がらん)を建立したという。参道には寺号にふさわしく竹林が続く。苔むした石段を上がりながら受ける“霊風”が心地良い。
清瀧寺は、土佐市北部、醫王山(いおうざん)の中腹に開かれた霊場。紙どころとしても知られ、和紙を漉(す)く水の源泉としての信仰もあつい。龍と天女が描かれた仁王門の天井画にも、その心が表れている。
そして最後が青龍寺。宇佐の大橋が架かるまでは、船で渡った。弘法大師のお供をした8人の子孫が「竜の渡し」という渡し船を近年まで守り続けてきたと伝えられている。
仁淀ブルーの「青」と、水神の化身たる「龍」。旅のテーマを象徴する二つの漢字を持つ霊場をもって、今回の旅を終わりにしよう。
※『Nile’s NILE』20211年7月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています