
相模湾・乱舞する朝獲れ魚たち
相模湾は、富山湾や駿河湾とともに「日本三大深湾」と呼ばれる。とくに小田原以西は、岸から少し離れると急に深くなる。水深は深い所で1000m以上! その海の表層を多様な魚の泳ぐ黒潮系、深層を栄養豊富な親潮系の二つの海流が流れる。
加えて箱根や丹沢の山からは二つの川が、森のミネラルとともに湾に注ぎ込む。海・山・川の恵みが混じり合うこの特殊な地形こそが、相模湾に豊漁をもたらすのだ。
おいしい魚を求めて、相模湾のおひざ元、小田原漁港と平塚漁港に行ってきた。
相模湾・乱舞する朝獲れ魚たち 目次
小田原漁港
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早朝5時、小田原漁港。毎朝300人前後が出入りするそうだ。
セリに入った瞬間、場の空気が張り詰める。やがてセリ人(卸業者)の声が響くと、間髪入れずに買受人たちの大きな声が乱れ飛ぶ。朝3時から4時に水揚げされた魚はすべて、遅くとも6時前後にはセリ落とされ、鮮魚店やスーパー、飲食店などに運ばれる。平塚漁港
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昼前、平塚へ。しらす漁に出ていた丸八丸が帰って来た。
しらす漁は魚群探知機が示す場所に網をかけ、手繰り寄せて獲る。水揚げしたばかりのしらすは、まず水洗い。窯で一気に塩ゆで、水気を飛ばして冷ました後、天日で干す。
朝獲れ生しらす、釜揚げしらす、ちりめん、たたみいわしなど、さまざまに楽しめる。
鎌倉モダンの源流を行く
海を吹き抜ける風、山に籠もる霊気、町に漂う蒼枯と今様……
豊かな自然に抱かれた鎌倉には、歴史の息づく多彩な顔がある。町に点在する「近代建築」も、鎌倉を代表する顔の一つ。
戦争や震災を経てなおモダンな姿を今に残す建物を求めて、通称・鎌倉洋館のビッグ3を巡る散歩に出かけた。
鎌倉モダンの源流を行く 目次
鎌倉文学館
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緑の木立に囲まれた緩やかな坂道を上り詰めた所に、大きな瀟洒で上品な洋館が現れる。洋館は、青い洋瓦の切妻屋根が特徴的。随所に和のデザインを取り入れた独特の外観が目を引く。1983(昭和58)年に市に寄贈されて後、1985(昭和60)年に文学館に生まれ変わった。旧華頂宮邸
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報国寺の先、静かな谷戸にある。華頂博信侯爵が1929(昭和4)年に建てた洋館。「端正な」という形容詞がよく似合う。銅板葺(ふ)きの淡いグリーンの屋根、破風や屋根窓のついた三角屋根、華やかな破風飾りなどが特徴的。古我邸
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1916(大正5)年、実業家・荘清次郎が建てた別邸。外壁全体は杮葺 (こけらぶき)で、屋根は西洋風のおしゃれな天然スレート葺き。大正ガラスのはめ込まれた大きな窓が特徴的。震災前の数少ない貴重な建物だ。