この数年で働き方が大きく変わったせいか、身近で「二輪の免許を取った」「バイクを買った」という人が増えた。実際、2021年の国内の二輪車新車出荷台数は前年比16.3%増。これは年々減少し続けていた状況からすると、驚きの大躍進だ。
そんなバイク業界で、異彩を放ち、注目を集めているのがマットモーターサイクルズ。かつて鉄鋼業で栄えたイングランド中部の工業都市、バーミンガムで2016年に創業した新進のバイクメーカーである。バーミンガムといえば、BSAやトライアンフ、ノートン、ニューインペリアルといった英国が誇る錚々(そうそう)たるメーカーが生まれた聖地でもある。
もともとカスタムバイク作りからスタートしたガレージブランドであるだけに、量産モデルを生産するに当たっても、自分が乗りたいカジュアルなバイクを作る、という強いこだわりを持ち続けている。
ハンドメイドで製作されたタンクには、艶つや消しのブラックやシルバー、インダストリアルなグレーといったミリタリー調な塗装が施され、クローム仕上げを極力抑え、ダークカラーでまとめたデザインは、精悍(せいかん)で引き締まった印象を与える。