秋は、旅について考えるにはちょうど良い季節だ。どこか遠くで、美しいものに触れながら心を休めたい—そんなとき、海の上という選択肢があるのを思い出してほしい。きらめく波間をすべる白銀の船体。穏やかな海風に包まれる洋上の旅は、陸とは違う特別な体験だ。この夏就航したばかりの飛鳥Ⅲ。日本のクルーズ文化を牽引してきた飛鳥クルーズの最新客船は、優雅な秋の旅をかなえるのにうってつけなのだ。
飛鳥Ⅲの船内は、クルーズという非日常の空間に日本文化の美意識を織りこんでいる。注目すべきは客室だ。3つのクラス・9つのタイプの部屋が用意されている中、最も客室数の多い「ミッドシップスイート」ではユニークな試みが展開されている。その名も「ASUKA Ⅲ meets 47都道府県」—全54室のうち、47室に都道府県をテーマとして割り当て、その土地の文化や名産品をメインに据えたおもてなしを提供するプロジェクトだ。たとえば岩手県をテーマにした部屋では、盛岡や奥州で生産され、国の伝統工芸品にも指定されている「南部鉄器」や、平安時代末期に平泉で生まれた「秀衡塗の盛皿」をコンソールテーブルにディスプレー。さらに、岩手産の素材を使用したウェルカムスイーツやドリンクが用意されるなど、各地の郷土文化を楽しめるのだ。もちろん、客室そのものの居住性も申し分ない。飛鳥Ⅲの客室には全室プライベートバルコニーが備わっており、刻々と変化する海や空の景色を独り占めすることができる。さらに、ゆったりと湯につかれるバスタブや、キッチンシンク付きのミニバーなど、妥協のないこだわりが随所に表れ、居心地の良さを演出している。
日本の伝統工芸を楽しめるのは客室だけではない。メインアトリウム「アスカプラザ」。落ち着いた雰囲気の空間、その中心に鎮座するのは、蒔絵師として重要無形文化財保持者(人間国宝)・室瀬和美氏による漆芸作品『耀光耀瑛』だ。高さ約9メートル、蒔絵としては類を見ない大きさの本作品には、“未来へ輝き進む”という願いがこめられているという。そのきらめきを、この目で見てみたいものだ。
食事もアートと共に。飛鳥Ⅲには、6つの個性豊かなダイニングがある。モダンと伝統を融合させたフランス料理を提供するシグネチャーレストラン「ノブレス」や、日本で生まれた西洋料理と和食が楽しめる、初代から3代続く伝統の名がつけられた「フォーシーズン・ダイニングルーム」など……日本各地の厳選食材を用いた数々の美食のそばにも、各レストランの入り口から内部まで、日本を代表する作家によるアート・工芸作品が。日本の芸術に囲まれて、唯一無二の食体験が実現される。
日本文化の美と心を余すところなく感じられる飛鳥Ⅲの旅は、間違いなく忘れられないものになるだろう。
●郵船クルーズ
TEL 0570-666-154

