心を呼び覚ます旅 – 星のや

Text Rie Nakajima

海と空が溶け合う沖縄の壮大な夕日、浄化されるような軽井沢の美しい森、都会に結界を張るような異空間の温泉で空を見上げるひととき。「星のや」のもてなしには、五感が刺激され、呼吸が深まり、自分自身が呼び覚まされるような、特別な瞬間がある。心身を健やかに保ち、人生をより豊かにしてくれるウェルネスプログラムを中心に、国内外の「星のや」の魅力に迫りたい。

心を呼び覚ます旅、星のや
海岸線の地形を生かして造られた「星のや沖縄」のプールサイドは、壮大な海に沈む夕日を眺められる特等席。刻々と移り変わる自然の芸術を、時間を忘れて眺められる。

2005年に誕生した「星のや軽井沢」。コンセプトは「もう一つの日本」である。もしも日本が、日本らしさを失わずに近代化していたら、どんな世界になっていただろう。そんな空想に端を発している。

日本人が本来持つ感性や表現を掘り起こし、その土地ならではの風土や歴史文化をもてなしに繊細に織り込みながら、一つひとつ丁寧に創り上げていった結果、そこには日常とは異なる、もう一つの「日本の風景」が生まれた。言うなれば、日本らしさ、軽井沢らしさを突きつめ極めたからこそ誕生した、現実とは一線を画した圧倒的な非日常。「星のや軽井沢」での滞在が、まるで夢のような、時空を超越したかのような体験となる理由である。

その後、「星のや」は全国、さらには海外に広がり、各地でその土地の自然や歴史文化から発した独創的なテーマのもと、そこにしかない世界を創り上げてきた。

ブランドコンセプトには、「その瞬間の特等席へ。」を掲げる。日本のもてなしは、四季だけでなく二十四節気、さらに七十二候まで、その微差を感じ分ける細やかな感性のもとに立脚している。その感覚を各地の風景や文化の中で捉え、テーマに落とし込むことにより、そのときにしか出合えない唯一無二の最高の瞬間を用意する。そんな、奇跡とも言えるもてなしに、真摯(しんし)に向き合い続け、実現してきたのが「星のや」なのだ。

大空を抱く舞台のようなプールサイドで眺める、完璧な日没。波の音と音楽、そして水中に灯る光が穏やかに重なり合う、極上の時間。悠久のときを感じさせる自然や文化と一体となるとき、かたくなっていた心が柔らかく揺れ動き、五感が研ぎ澄まされ、体の奥から本来の自分が呼び覚まされる。

健康寿命が重要視される今、世界のリゾートホテルなどで、さまざまなアクティビティーを通して心身を健康に保ち、人生を豊かにするためのウェルネスツーリズムに注目が集まっている。

「星のや」でも、その土地の自然や歴史文化を通した最高の瞬間を提供するために、四季折々に各地の自然や文化、人と触れ合い、体験できる多彩なウェルネスプログラムを用意している。非日常の空間で、呼吸を取り戻し、心と体が元気になったら、ぜひこれらのプログラムを体験してもらいたい。「星のや」で過ごす時間は受け身でいても十分心地良いが、自分から体を動かし、歩み寄っていくことで、さらに「その瞬間」に出合える可能性が高まるからだ。心が震え、自分自身の心と体が一つになる、特別な瞬間に。長い人生の中において、折に触れて、そんな体験をする旅ができることは幸せだ。

国内外に8施設ある「星のや」では、それぞれにテーマと土地の魅力を最大限に享受できるロケーションを厳選し、ランドスケープを含めて非日常を醸成する空間を創り込み、そこでしか味わえないウェルネスプログラムを用意している。今回は、その中から国内の3施設、海外の2施設を紹介。自分なら、いつ、どこで、どんなことをしてみたいか。期待に胸を膨らませながら、ページをめくってもらいたい。

▼目次
波の音を聴く 星のや沖縄
緑の森に憩う 星のや軽井沢
都心の温泉で整う 星のや東京
星のやバリ 神話の森に抱かれる
星のやグーグァン 天然の泉にうるおう

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。