コラーゲン その知的な営み

ニッピのバイオマトリックス研究所とは

Text Junko Chiba

ニッピのバイオマトリックス研究所とは

ニッピバイオマトリックス研究所顧問・医学博士の服部俊治氏。
ニッピバイオマトリックス研究所顧問・医学博士の服部俊治氏。1985年、東京医科歯科大学医学系研究科博士課程修了。同大学難治疾患研究所、異常代謝学部門の助手を務める。89年、ニッピバイオマトリックス研究所入社。2008年、所長就任。現在は顧問を任じる。16年には「ヒトES/iPS細胞用培養基材の開発」の功績が認められ、大阪大学の関口教授らとともに科学技術分野・文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞するなど、研究の第一線で活躍を続けている。

コラーゲンは骨や皮膚を始め、私たちの体を構成するあらゆる組織に存在し、健康に資する重要な役回りを担っている。例えば約37兆個の細胞を接着剤のようにつないで臓器を形作る、肌のみずみずしさや血管のしなやかさを保つなど、八面六臂の活躍だ。「その働きが“インテリジェント成分”と呼びたくなるほど知的なんです」と頬を緩める服部俊治氏。ニッピのバイオマトリックス研究所顧問を務める「コラーゲン博士」である。

コラーゲンは基本、水に溶けない。溶けたら、人間の体の組織が全部バラバラになる。そのコラーゲンを、服部博士の大先輩、西原富雄博士は溶かそうと考えた。「その発想自体がすごい!」こと。しかも熱処理をせず、酵素トリプシンを使って、コラーゲン分子の複雑な三重らせん構造を保ったまま溶かす技術を確立した。60年前のことである。その技術のおかげで、体内にあるのと同じ形のコラーゲンを化粧品や食品などに使用することが可能になったわけだ。では、どこがインテリジェントなのか。

「例えば肌。コラーゲン分子は『細胞外マトリックス』といって、もともと細胞たちを一番いい状態にしてあげる寝床のように機能します。具体的には、血液などから水分や栄養分、ホルモンなどを取り込み、分子内にいったんためてから、必要に応じて細胞に供給する。逆に余分なものは受け取り、少しずつ変成(ゼラチン化)して出しながら自分は消えていく。そうやって細胞の状態をコントロールしているんです。すごく賢いでしょ? 『スキンケア ジェルNMバランス』に配合された生コラーゲンがまさにそれ。角層表面で肌の水分を抱え込んで潤いをもたらし、ダメージのひどい部分には水分を分け与え、肌の水分状態をベストに保ちます」

そんな神秘の性質を発揮するのが、主成分の生コラ-ゲンと肌の奥まで届くナノコラーゲン、活性酸素を除去する効果のあるメディコラーゲンを加えた「スキンケア ジェル NMバランス」だ。ほかにもラインアップ豊富な化粧品と“食べるコラーゲン”を事業の柱とするニッピコラーゲン化粧品。一方、研究所では近年、再生医療分野での研究・開発が進められている。

「その一つが、コラーゲンと同じ細胞外マトリックスのラミニンを遺伝子組み換え技術により製造し、それを使ってiPS細胞を培養する研究。大阪大学と共同で進めています」と目を輝かせる服部博士は目下、山中伸弥教授の取り組む「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」に関わりつつ、最先端研究に取り組んでいる。博士が今後、コラーゲン・ラミニンを中心とする細胞外マトリックスの可能性をどう広げるのか。研究の成果に期待は高まる一方だ。

●ニッピコラーゲン化粧品 TEL0120-30-3232

※『Nile’s NILE』2021年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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