今でこそ化粧品や食品に当たり前のように配合されているコラーゲンだが、ほんの60年前までは「ありえない」ことだった。コラーゲン線維は水に溶けないとされていたからだ。その不可能を可能にしたのが、ニッピの西原富雄博士である。
ニッピコラーゲン化粧品のルーツを求めて、時をさかのぼろう。1907年創業のニッピは、もともとは日本皮革という皮をなめす会社だった。一見、コラーゲンとは何の関係もなさそうだが、実は皮革はコラーゲンを含む素材である。そのコラーゲンに着目して研究を始めたのが西原博士。56年、米ハーバード大学への留学から帰国するや、可溶化に向けての研究を本格始動。60年には「酵素トリプシンを使った、不溶性コラーゲンの可溶化」についての技術で特許を出願した。世界初のこの革命的快挙を記念して、日本記念日協会により、1月26日を「コラーゲンの日」と認定されるに至る。そして3年後の63年に特許を取得して以後、さまざまな革新的技術を生み出していくのである。
可溶化技術の一番のポイントは、「可溶化の過程で分子の形を変えない」ところにある。コラーゲンは複雑な三重らせん構造だからこそ、「肌のすみずみまでたくさんの水分を抱えこんで保水・保湿効果を生む」など、“神秘の性質”を発揮するわけだ。
ニッピの技術はすぐに世界に注目された。71年、現在の生コラーゲンにつながる「アルカリ処理によるコラーゲンの可溶化」の成功を経て、72年には米国大手化粧品メーカーR社に化粧品用コラーゲン原液を輸出。世界初のコラーゲン入りクリームが登場した。これが「肌にハリと潤いをもたらす」と評判を呼び、ハリウッドに“魔法のクリーム旋風”を巻き起こしたとか。
ニッピが自らスキンケアクリームの製造・販売に乗り出したのは87年のこと。純度の高い生コラーゲンそのものの「スキンケアクリーム」(現「スキンケア ジェル NMバランス」)の誕生である。以来、進化を続けるこの“生コラーゲンジェル”を中心に、多くのコラーゲン化粧品を提供する。中でも人気の高い「スキンケア ジェル NMバランス」は、3種のコラーゲンと水とグリセリンだけで構成された肌に優しい基礎化粧品だ。
もちろんニッピの研究は美容にとどまらない。そもそもコラーゲンは骨を始め、私たちの体を構成する37兆個の細胞をつなげる接着剤のような役割を持ち、それで体の各組織を形作り、その活動をサポートするもの。サプリメントとして健康に資することは言うまでもない。
また近年は、再生医療におけるタンパク質断片ラミニンの製造など、医療分野にも注力。ニッピは今後も、コラーゲン研究から人々の健康を支える明るい未来を開いてくれるに違いない。
●ニッピコラーゲン化粧品 TEL0120-30-3232
※『Nile’s NILE』2020年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています