都内でも指折りの高級住宅街として知られる南麻布。行き交う人々でにぎわう外苑西通り沿いの交差点のそばに今年3月、7階建てのモダンな納骨堂が誕生した。この納骨堂が、これまでにない新たなスタイルの都市型納骨堂、了聞だ。母体は浄土宗大本山・増上寺の子院である瑞華院であり、500年以上の歴史を受け継ぎながら生まれ変わった。
納骨堂とは墓の一種だが、了聞はこれまでの墓と比べてどこが新しいのだろうか。それはここが、故人が眠るためだけに用意された墓ではなく、遺族が故人に会いに来ることに重きを置いて造られた施設という点である。従来の墓は、命日や盆、彼岸といった故人を弔う風習がある日に「お参りをする」場所であった。しかし了聞は、日常の中で気軽に故人に「会いに行く」場所なのだ。
たとえば、日々の生活を送るうえでうれしいことや悲しいことがあったとき、大切な故人に話を聞いてほしい、励ましてほしい、報告したいなどと感じることがあるのではないだろうか。そんなとき、仕事帰りや家事の合間にふらっと故人が眠る場所に立ち寄ることができたらどんなに良いだろうか。
了聞が利便性の高く恵まれた立地にあるのは、わずかな時間でも気軽に足を運べる施設であるためだ。それゆえに開館時間を可能な限り確保し、8時から21時まで自由に予約できる体制を整えている。
納骨堂内には最上階である7階に瑞華院の本堂、3階から6階に8タイプ22室の参拝室がある。特筆すべきはその参拝室のすべてが個室であること。前述のようにこの納骨堂は故人に会いに来るための施設。大切な人と会うひとときは、人目をはばかることなく自由に会話し、感情を表現してほしいと考え、第三者の目に触れない個室にこだわった。
さらに、ゆったりとリラックスして過ごしてもらうため、各参拝室の面積を広々と確保。最も広いタイプは日本でほかには見られないほどの広さだ。どの参拝室も石材や木材を始めとする天然素材を随所に取り入れ、職人の伝統技術をもって上質なしつらえに。面積や和洋のテイストが異なる多様な参拝室から、シーンに合わせて選択できる。ロビーやラウンジもホテルを思わせるラグジュアリーな雰囲気で、いつ訪れてもほっと一息つける空間だ。
また、納骨堂は生前に購入されるケースがほとんどだが、実際は亡くなるまで必要ない場所となってしまう。
そこで了聞は、古来の寺院のように地域のコミュニティーを生み出す場所であるべく、イベントやカルチャー教室の開催を予定している。その第一弾として3月に「千本桜の通り抜け」を開催。コロナ渦で思うように花見ができないなか、施設内を桜で彩り、地域住民に楽しいひとときを提供した。
生前から親しんで訪れることができ、遺族も気軽に足を運べる了聞は人に寄り添う新たなスタイルの納骨堂と言える。アフターライフの在り方の一つとして、選択肢に入れてみてはいかがだろうか。
●了聞 TEL0120-149-208
※『Nile’s NILE』2021年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています