藍染和紙にメッセージを託して

藍染和紙を腕時計の文字板に採用した年差±5秒の高精度エコ・ドライブモデル「ザ・シチズン AQ4091-56M」が好評を博している。匠の技と最先端テクノロジーとを融合させ、サステナブルなメッセージをも持ったモデルの魅力を解き明かす。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni)  Text Yasushi Matsuami

藍染和紙を腕時計の文字板に採用した年差±5秒の高精度エコ・ドライブモデル「ザ・シチズン AQ4091-56M」が好評を博している。匠の技と最先端テクノロジーとを融合させ、サステナブルなメッセージをも持ったモデルの魅力を解き明かす。

ザ・シチズン AQ4091-56M
年差±5秒の光発電エコ・ドライブムーブメントCal.A060を搭載。パーペチュアルカレンダー機能付き。クローズドバック仕様とし、イーグルマークをエングレーブした。「シチズンオーナークラブ」登録により最長10年間無償保証・無償点検が受けられる。「ザ・シチズン AQ4091-56M」エコ・ドライブ(光発電クオーツ)、ケース径40mm、スーパーチタニウム™ケース×スーパーチタニウム™ブレスレット、10気圧防水、440,000円。

光発電によって駆動するシチズン独自の技術「エコ・ドライブ」。機能価値の向上に加え、光を透過させる素材や意匠の進化も重ね、昨年、世界最薄と言われる土佐典具帖紙(とさげんぐじょうし)を天然の阿波藍で手染めした文字板にたどり着いた。土佐典具帖紙は、清流・仁淀川が流れる高知県日高村にある、ひだか和紙が製造。独自の抄紙機(しょうしき)の技術によって、究極の薄さや透明度、均一性を実現させ、古文書や美術品などの文化財の修復に用いられ、世界的に高い評価を受けている。

藍染は徳島県の工房、Watanabeʼsが担当。代表の渡邉健太氏は藍染に魅せられ徳島へ移住し、蓼藍の栽培から染色・製作まで一貫して手掛けている。偶然にも渡邉氏は、ひだか和紙の土佐典具帖紙を染めた経験があり、工程は順調に進み、藍染和紙が文字板に適しているのを実感したという。“天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)”という伝統技法で染め上げられた藍染和紙文字板は、深くさえた色合いに加え、工芸ならではの魅力にも富む。

この時計は、シチズンのマニュファクチュールとしての真摯(しんし)なものづくりの姿勢と日本の伝統の技が融合した意義だけでなく、もう一つのメッセージも含んでいる。藍染液中の発酵菌は役目を終えると畑の肥やしとなり、次なる蓼藍を育む。その自然なサイクルや、末長く色調を保つ藍染は「エコ・ドライブ」を軸とするシチズンのサステナブルなスタンスとも響き合った。藍染和紙文字板に託されたさまざまな要素が、この時計の唯一無二の魅力を醸成している。

ザ・シチズン「AQ4091-56L」(左)、「AQ4091-56A」(中)、「AQ4091-56E」(右)
「AQ4091-56L」(左)、「AQ4091-56A」(中)、「AQ4091-56E」(右)。
光 発電エコ・ドライブ、ケース径40mm、スーパーチタニウムケース×スーパーチタニウムブレスレット、429,000円。

●シチズン時計お客様時計相談室
TEL 0120-78-4807

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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