半世紀の眠りから覚めた時の息吹

130周年という節目の今年、念願だった機械式掛け時計が復活したセイコー。「世代を超えて代々受け継がれる環境にも優しい時計」というコンセプトの下に開発されたデコール・セイコー「息吹」の世界観を堪能したい。

Text Yasushi Matsuami

130周年という節目の今年、念願だった機械式掛け時計が復活したセイコー。「世代を超えて代々受け継がれる環境にも優しい時計」というコンセプトの下に開発されたデコール・セイコー「息吹」の世界観を堪能したい。

デコール・セイコー「息吹」機械式手巻き
デコール・セイコー「息吹」機械式手巻き、約8日間のパワーリザーブ、サイズ586×194×99㎜、重量約4.4kg、精度日差±30秒、保証期間3年、2022年12月より銀座 和光にて受注開始。設置サポートあり(有償)。880,000円。

文明開化が急がれていた明治5(1872)年に太陽暦が採用されると、日本でも時計が徐々に普及し始める。そんな中、明治14(1881)年に服部金太郎は21歳の若さで服部時計店を創業する。舶来の時計の販売と修理で評価を高めながら、自らの手で時計を製造する夢を抱き、明治25(1892)年、念願の時計製造会社、精工舎を設立し、初となる自社製掛け時計を発売する。

2022年は、それから130周年の節目に当たる。これを機に、セイコーグループ内でクロック製造を手掛けるセイコータイムクリエーションは、完全自社設計・製造の機械式掛け時計ムーブメントの復活プロジェクトを進めてきた。

1960年代末、セイコーは世界にさきがけてクオーツ時計を開発し、時計界に革命を起こした。以降、セイコーは、ウオッチ、クロックともにクオーツ式へのシフトを進めていく。近年になってセイコーブランドの機械式腕時計は数多く登場して支持を集めているが、自社製機械式掛け時計の製造は特別なモデルを除き、約半世紀もの間、封印されたままだった。
しかし技術継承の必要性を見直し、現役スタッフとOB技術者とがノウハウと経験を持ち寄り、約50年ぶりに自社設計・製造の掛け時計用ムーブメントを完成させる。この記念碑的な機械を搭載し、「世代を超えて代々受け継がれる環境にも優しい時計」というコンセプトの下に開発されたのが、デコール・セイコー「息吹」である。

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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