次世代コンプリケーションの旗手 MCT

時刻は読み取りやすいのに、一体どんな動きをするのか想像もつかない、ただならぬオーラ。そして、実際にその動きを目にしたときの感動――。伝統的な複雑時計の枠にとどまらない、次世代コンプリケーションウオッチの旗手と言うべきウオッチブランド、MCT。その魅力に迫る。

Photo Danny Danks(digni) Text Yasushi Matsuami

時刻は読み取りやすいのに、一体どんな動きをするのか想像もつかない、ただならぬオーラ。そして、実際にその動きを目にしたときの感動――。伝統的な複雑時計の枠にとどまらない、次世代コンプリケーションウオッチの旗手と言うべきウオッチブランド、MCT。その魅力に迫る。

2008年に発表されるや、センセーションを巻き起こしたファーストモデル「セクエンシャル ワン」の革新的時間表示はそのままに、都会的かつラギッドなデザインにアップデートされたモデル「セクエンシャル ワン S110」。3気圧防水。手巻き、ケースサイズ45×45㎜、チタンケース×カーフスキンストラップ、10,400,000円。
2008年に発表されるや、センセーションを巻き起こしたファーストモデル「セクエンシャル ワン」の革新的時間表示はそのままに、都会的かつラギッドなデザインにアップデートされたモデル「セクエンシャル ワン S110」。3気圧防水。手巻き、ケースサイズ45×45㎜、チタンケース×カーフスキンストラップ、10,400,000円。

マニュファクチュール・コンタンポレーヌ・デュ・タン――コンテンポラリーな時計工房を意味するフルネームの頭文字を取ったMCTが設立されたのは2007年のことだ。創立メンバーには、著名なジュエリーブランドのスペシャルタイムピースプロジェクトに参画していた辣腕(らつわん)ウオッチクリエーターらが名前を連ね、翌2008年に発表された「セクエンシャル ワン」は、外観も機構も過去に類を見ないものだった。

複雑な内部をあらわにしたオープンフェースのセンターには、C字形のレトログラード式ミニッツ表示を装備。このミニッツトラックの切れ目の部分には、時を示すアラビア数字が大きく表示されている。この数字はプリズムと呼ばれる5本の三角柱で構成され、あるタイミングで数字が切り替わる仕掛けだ。

  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
    毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
    毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
    毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。
  • 毎正時ごとに、分針が0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックが90度反時計回転し、時刻を示すプリズムが現れる。

もう少し具体的に説明していこう。このページに紹介しているモデルは、現在時刻9時17分あたりを示している。このまま分針が進んで10時ちょうどになると、分針は0復帰すると同時に、C字形のジャンピングアークと呼ばれるミニッツトラックも90度反時計回転する。すると、6時位置にアラビア数字の10が顔を出す。11時には、ジャンピングアークがさらに90度回転し、3時位置に11が現れ……という動きが続く。つまり毎正時ごとに、ムーブメントによるドラマチックなページェントが繰り広げられるのだ。その動きは高級時計ならではの精緻(せいち)さにあふれ、優雅でさえある。それでいて、時刻が一目で分かる視認性の高さも押さえられている。

では、5本のプリズムはいつ切り替わるのか? 実は9時30分になると、3時位置のプリズムが回転し始め、数分かけて11にチェンジし、1時間半後の登場の準備を整えるのだ。すでにお察しの通り、12時位置に12・4・8、9時位置に1・5・9、6時位置には2・6・10、3時位置には3・7・11が潜んでいる。

9時、12時、3時、6時位置に用意された3面を回転させるプリズム。各プリズムには4時間ごとに表示される三つの数字が備えられている。
9時、12時、3時、6時位置に用意された3面を回転させるプリズム。各プリズムには4時間ごとに表示される三つの数字が備えられている。

このオリジナルと言うべき「セクエンシャル ワン」のDNAを受け継ぎ、よりモダンにアップデートされたのが「セクエンシャル ワン S110」である。オープンワークを施したブリッジを改良し、複数の階層からなる自社製ムーブメントMCT-S 1.0をより大胆かつ印象的に表現。その姿は、ニューヨークの歴史的なキャストアイアン建築に見られる鉄の非常階段を彷彿(ほうふつ)させ、ラギッドでエッジな雰囲気を醸し出す。軽量かつ丈夫なグレード5チタンをケースに採用したことも、この時計が活躍するシーンを広げている。

MCTは創立からわずか10年の間に、コンポーネンツ製造部門や組み立て部門、さらに精密機械の開発・検証に特化した研究所などの垂直統合を進め、独創的なウオッチメーキングの拡充を図ってきた。それが、自社製ムーブメントや、革新的なニューモデルの展開につながってきたことは間違いない。

MCTは、ハイエンドなコンプリケーションウオッチの未来をリードし続ける。

モントレソルマーレ TEL03-3833-4211 

※『Nile’s NILE』2017年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

Tags:
ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。