「もう日本の町じゃない」成長続ける”世界のニセコ”―時給高騰し人集められず…閉鎖する介護事業所も

写真はイメージです。

北海道のニセコ地域は、その上質なパウダースノーを武器に、世界的なリゾート地へと成長しました。円安の影響もあり、海外からの観光客が増加し、高級食材が飛ぶように売れています。倶知安町のスーパーでは、1折3万円を超える生ウニや、高額なタラバガニ、和牛が並び、外国人観光客がためらいなく購入する姿が見られます。一方、地元住民は「手が出ない」と困惑しています。

高騰する不動産と変わる町の風景

ニセコ地域では、外国人観光客が増加し、2023年度の外国人宿泊数は過去最多の約74万人に達しました。倶知安町のひらふ地区では、1戸10億円を超えるコンドミニアムや別荘、高級ホテルが立ち並び、不動産価格は10年前の倍以上になりました。1平方メートル70万円を超える土地もあり、札幌の高級住宅地を上回る価格がついています。地元住民は「私たちの町ではなくなった」と嘆いています。

労働力不足と高騰する賃金

外国人投資家の影響で、ニセコ地域の賃金水準は急上昇しました。2023年12月の平均時給は1585円で、札幌や東京を上回っています。特に、ひらふ地区では時給2000円、英語を話せると2500円に達し、人材確保が難しくなっています。この結果、介護施設など地元住民向けのサービス業が人手不足に陥り、閉鎖に追い込まれる事業所も出ています。ある介護施設では、5年間応募ゼロの状態が続き、最終的に廃業を決断しました。

外国人による交通事故と違法行為の増加

ニセコでは、冬期間の交通事故が急増し、昨冬は1024件発生。そのうち45%が外国人によるものでした。スピードの出しすぎや一時停止無視といった問題が多発し、地元住民の間では不安が広がっています。また、スキーヤーらによる違法無線の使用も確認され、緊急通信の妨害につながる可能性が指摘されています。

高まる生活の負担と今後の展望

ニセコ地域の物価上昇は、地元住民の生活を圧迫し、住宅価格の高騰も深刻な問題となっています。北海道新幹線の開業により、札幌との移動時間が25分に短縮されることで、さらなる投資と観光客の増加が見込まれています。しかし、このままでは、地域住民の生活環境がさらに悪化する懸念もあります。

ニセコは、豪雪地帯の小さな町から世界的な高級リゾートへと変貌を遂げました。しかし、急激な発展の影で、地元住民の生活環境が大きく変わりつつあります。このバランスをどう取るかが、今後の課題となるでしょう。

・出典:HBC放送 X Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/a3801cdf9a91522a0d7ad243ea5776f2b7c69d7f

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