3年間毎月15万円を、無条件に支給──サム・アルトマンが関わるベーシックインカム実験 結果は?

OpenAIのサム・アルトマンCEOが取締役を務める研究チーム「OpenResearch」は、米国で実施したベーシックインカム(無条件の現金給付)に関する社会実験の結果を公開しました。この研究は、低所得成人1000人に毎月1000ドルを支給し、対照群として2000人に毎月50ドルを支給する形で3年間行われ、政治的態度、自己決定能力、健康、雇用、支出の5つの観点から影響を分析しました。

■ 政治的態度と労働意識の変化
受給者の投票行動や政治的選好に大きな変化は見られませんでした。しかし、仕事に対する意識に変化があり、仕事の重要性や政府の支援制度の認識が高まりました。労働時間は減少しましたが、これは働く意欲の低下ではなく、より適した雇用を選択できる余地が生まれたためと考えられます。

■ 自己決定能力と起業意識の向上
受給者は予算管理や将来設計、教育機会の追求、起業への関心が高まりました。教育・職業訓練の受講率は対照群より平均14%、低所得者では34%上昇しました。予算管理を行う確率は5%増加し、財務管理に費やす時間も月20分増加しました。また、起業家精神が8%向上し、特に黒人受給者で26%、女性受給者で15%上昇しました。

■ 健康面の改善
医療サービスの利用が増加し、特に歯科治療や専門医の受診率が10%以上上昇しました。医療関連の支出は月平均20ドル増加しました。さらに、日常生活に支障をきたす飲酒は20%減少し、処方されていない鎮痛剤の使用日数は53%減少しました。

■ 雇用への影響
受給者の就業率は、実験開始時点では58%(対照群59%)でしたが、最終月には72%(対照群74%)に上昇しました。受給者は仕事を探す可能性が10%、応募する可能性が9%高かったものの、応募件数自体は少なめでした。これは、より関心のある仕事や有意義な仕事を選択する傾向が強まったためと考えられます。

■ 収入・支出の変化
給付金を除いた場合、受給者の世帯収入は2500~4100ドル減少し、対照群を下回りました。しかし、給付金を含めると、受給者の個人収入は約1万ドル、世帯収入は約6100ドルとなり、対照群を上回りました。支出は月平均310ドル増加し、主に食費(67ドル増)、交通費(50ドル増)、家賃(52ドル増)など基本的な生活費に充てられました。

■ コミュニティへの影響
他者への経済的支援は26%増加し、月平均22ドルの支出増となりました。これは、現金給付が個人の生活の安定だけでなく、コミュニティ内の助け合いを促進する効果があることを示唆しています。

この研究は、ベーシックインカムが単なる経済的支援にとどまらず、生活の質の向上や社会的な相互扶助の促進に寄与する可能性を示しました。

出典:https://www.openresearchlab.org/studies/unconditional-cash-study/study

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