中国の旧正月「春節」が始まり、多くの観光客が日本に訪れると予想される一方で、オーバーツーリズム(過度の観光)問題が深刻化している。観光業を推進する政府に対しては、「数字ばかり追求している」との批判もあり、観光地での混雑や地域住民との摩擦が顕在化している。
北海道小樽市では、観光客が道路に飛び出して写真を撮影したり、私有地に無断で侵入する問題が続き、市は警備員を配置して対応している。さらに、美瑛町では、外国人観光客の増加により、人気のシラカバ並木がオーバーツーリズムの影響で伐採された。観光地の混雑や交通問題が頻発しており、SNSの影響で人々が「写真映え」する場所に集まる傾向が強まり、「チープな観光」が広がっている。
この状況に対して、専門家は観光地のキャパシティを超える観光客の流入を抑えるためにICT(情報通信技術)の活用を提案。地図アプリで混雑するルートを非表示にするなどの手法が有効とされ、スペイン・バルセロナなどで実績がある。
また、観光が地域住民との摩擦を引き起こす例も増えており、京都市では観光客の増加に伴い地価が上昇し、住民の生活に悪影響を与えている。観光業が地域住民にとってプラスにならなければ、観光自体が嫌われる可能性があり、今後は観光業と地域社会が共存できるような施策が求められている。観光振興の成果が住民に還元されることが重要であり、地域社会や環境保護にも配慮した政策が必要とされている。