フジの幹部らはトラブルに関する中居さんら当事者の認識について言及を避けようとしたが、一部のフリージャーナリストは「問題の核心だ」として追及を続けた。指名されていないのに質問や怒声、意見表明が相次ぐ事態となり、こうした姿勢に苦言を呈する記者もいた。
会見中盤に紛糾
「手を挙げた人が質問するルールになっている。そこは守ってください。静かにしてください。マジで」
通販新聞社の佐藤記者はマイクを持つと、会場の一部に向けてこう指摘した。同社は通販事業を展開する企業を主に取材している。
佐藤氏は普段、サプリメントや化粧品の通販事業を取材しているという。声のトーンを落ち着かせながら、広告出稿の差し止めが相次ぐ中、スポンサーに対するフジの説明のあり方について質問した。
会見が始まったのは午後4時。6時間が経過していた。
直前には、フジの遠藤龍之介副会長が中居さんと被害女性のトラブルについて「認識の違い」に触れる発言をし、その後撤回したものの、会場は紛糾した。
司会者に「邪魔、邪魔」の声も
複数の記者があちこちで叫び始め、フジ幹部の発言中も「聞こえねえよ」「記者はみんな（撤回せずに）言うべきだと思ってんだよ」などと怒号が飛んだ。マイクを持ったフリーのジャーナリストが追及を続けると、会場から拍手が起こる場面もあった。さらに、マイクを持たずに何かを説明し始める記者も現れた。
荒れた雰囲気となったが、司会者の男性は特に制する様子を見せなかった。フリーのジャーナリストから「邪魔、邪魔」と声が上がり、司会の交代を求める場面もあった。
「節度を持ち、冷静に」
佐藤氏に続き、ニュースサイト「The HEADLINE」の石田編集長も発言。「ガバナンス（企業統治）の不全やコンプライアンス（法令順守）を問うことも大事だ」と述べた上で、「同意の有無について言及することは、女性側の二次加害になる可能性がある。取材や会見において二次加害への配慮が重要だ」と訴えた。この発言にも拍手が湧いた。
佐藤氏は産経新聞の取材に対し、「記者は読者や視聴者を代表して出席している。フジテレビの対応に問題があるとしても、節度を持ち、それぞれの問題意識に基づき冷静に質問する必要があると考えた」と振り返った。その上で、「私も少し感情的な言い方をしてしまい、その点は反省している」とも語った。
佐藤氏や石田氏の発言にはSNS上で賛同の声が広がっている。通販新聞社のX（旧ツイッター）の公式アカウントは27日夜、「アクセス集中のため弊社サイトが閲覧しにくくなっております。大変ご迷惑をおかけしております」と投稿した。
