世界初の愉悦

腕時計とは、ただ時間を知るための機械ではない。伝統や開発への情熱など、さまざまな背景を内包した作品ゆえに、時計と出会う場所も極めて重要だ。パテック フィリップ単独ブランドによる百貨店グランドフロアへの世界初出店が、名古屋栄三越で実現した。老舗同士が関係性を進化させた新店舗で、その世界を味わいたい。

Photo Masahiro Goda Text Yasushi Matsuami

腕時計とは、ただ時間を知るための機械ではない。伝統や開発への情熱など、さまざまな背景を内包した作品ゆえに、時計と出会う場所も極めて重要だ。パテック フィリップ単独ブランドによる百貨店グランドフロアへの世界初出店が、名古屋栄三越で実現した。老舗同士が関係性を進化させた新店舗で、その世界を味わいたい。

ラウンジルーム|名古屋栄三越 パテック フィリップ
広々としたラウンジルームには、ソファを囲むようにショーケースが並ぶ。

中京地区を代表する繁華街にして、ラグジュアリーショッピングエリアとしても知られる名古屋、栄。その中でも中核的な存在である名古屋栄三越は、来年三越創業350年を迎えるにあたり、数年をかけてラグジュアリー売り場のリニューアルを進め、人間味あふれる最高の接遇を提供できる空間の構築を目指してきた。そうした動きの中で、ハイライトの一つというべきパテック フィリップの新店舗が、6月20日オープンした。パテック フィリップ単独ブランドによる百貨店グランドフロアへの出店は世界でも初めてのことである。

ウィンドー
世界初となる百貨店グランドフロアへのパテック フィリップ単独出店を祝い、希少な複雑モデルや2022年の新作などがウィンドーを飾った。

栄のメインストリート大津通に面した入り口からすぐという絶好のロケーションが用意され、大津通沿いの外壁にもパテック フィリップのディスプレーが設けられた。従来の約2倍となる100m2以上のスペースに趣が異なる3ルームを設置。洗練されたデザインのファサードが迎えるラウンジルームには、ソファを取り囲むようにショーケースが並ぶ。その奥には、時計を手に取ってじっくりと吟味できる接客スペースが控え、さらに奥にはVIPスペースが用意された。インテリアから什器、シャンデリアに至るまで、スイス本社の監修の下、ジュネーブ、パリ、ロンドンの3都市にしかないパテック フィリップ直営サロンの空気感が再現された。

壁面ディスプレー
接客スペースの壁面ディスプレー。インテリアから什器に至るまで、全てジュネーブ本社の監修による。

またエントランス左手には、パテック フィリップと三越の名を刻んだ、表札というべき銘板が誇らしげに掲げられている。パテック フィリップの店舗が、ダブルネームの銘板をこのデザインで掲げることは、かつてなかったという。今回の出店を進める中で、パテック フィリップと名古屋栄三越の関係性が、新たな次元に進化したことをうかがわせた。

同店には、パテック フィリップで研修したスタッフ5名が常駐する。商品の販売にとどまらず、顧客が気軽に同店を訪ね、時計に関する情報を始め、さまざまなコミュニケーションを図れるような、もてなしの空間が目指されている。

ダブルネームの銘板
エントランス左には、パテック フィリップと三越とのダブルネームの銘板が誇らしく掲げられている。

オープンに先立ち、6月17日に行われたテープカットセレモニーにおいて、パテック フィリップ・ジャパン代表取締役CEOの長野英樹氏は、同店の意義をこう語った。

「パテック フィリップは、時計の作り方、ブランドや企業のあり方にも特別な哲学を持っています。百貨店1階での単独ブランドの出店は、弊社のかねてからの悲願でもありました。そうした我々の思いに応えてくださったのが名古屋栄三越様です。この店舗は今後の展開において重要な第一歩となります」

テープカットセレモニー
テープカットセレモニーの模様。中央がパテック フィリップ・ジャパン代表取締役CEO 長野英樹氏。右は名古屋三越代表取締役社長執行役員の椎野聡氏。左は店舗運営を担うクロノス代表取締役社長の北山文司郎氏。

技術力、伝統性、信頼性、プレステージ性など、あらゆる面でエクスクルーシブな時計シーンを常にリードしながら、独立したファミリー企業として創業以来183年もの歴史を刻むパテック フィリップ。日本の歴史ある百貨店との協力関係の中で実現した、「世界初」に彩られた新店舗で、その世界に包まれながら、時計との出会いを満喫したい。

名古屋栄三越 パテック フィリップ

愛知県名古屋市中区栄3-5-1 1F
TEL052-252-1320

●パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
TEL 03-3255-8109

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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