空間が描くブランドの世界

260年以上の伝統を誇るフランスのメゾン、バカラの世界を五感で堪能できる 「B bar Marunouchi」が、今年5月にリニューアルオープン。その内装設計・施工を、東京に本社を置き、デザイン・コンサルティング・コーディネーションを世 界11拠点で展開するGARDEが手掛けた。「B bar Marunouchi」のバーテンダー・福田英徳氏と、GARDEのデザイナー・桐谷万奈人氏に話を聞いた。

Photo Satoru Seki Text Mizuki Ono

260年以上の伝統を誇るフランスのメゾン、バカラの世界を五感で堪能できる 「B bar Marunouchi」が、今年5月にリニューアルオープン。その内装設計・施工を、東京に本社を置き、デザイン・コンサルティング・コーディネーションを世 界11拠点で展開するGARDEが手掛けた。「B bar Marunouchi」のバーテンダー・福田英徳氏と、GARDEのデザイナー・桐谷万奈人氏に話を聞いた。

福田英徳 ふくだ・ひでのり
B bar Manager
1976年生まれ。横浜にてバーテンダーのキャリアをスタートする。都内レストランでソムリエとして従事した後、 2004年から「B bar Roppongi」のチーフバーテンダーを務める。得意なカクテルは、マティーニやフルーツ本来の香りを生かしたカクテル。

桐谷万奈人 きりや・まなと
ブランド事業本部 ブランドデザイン課 デザイナー
大学院卒業後、国内設計事務所にてキャリアを積み、国内外の飲食施設、オフィス設計などに携わる。GARDE入社後は、ブランド事業部にて海外ラグジュアリーブランドを中心にローカルアーキテクト・デザイナーとして多数のプロジェクトに参画している。

東京、丸の内。洗練された大人たちが集まるオフィス街に、静かにたたずむバーがある。新東京ビルの地下、「B bar Marunouchi」。2004年に丸の内仲通りにオープンしてから約20年の時を経て、拠点を新たにし、今年5月にリニューアルを果たした。

「この店は、バカラの世界を体感できるバーなんです」。そう教えてくれたのは、B barのバーテンダー兼ソムリエの福田英徳氏。店内に一歩足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのは、バカラの伝統的な燭台「ツァリーヌ」。その先にあるのは、壁一面にバカラグラスを並べた通称「バカラの壁」である。

「バカラのシャンデリアには必ず一つだけ赤いパーツが含まれていて、『バカラの壁』はその特徴をイメージしたものなんです。このことをお伝えすると、自然と近くのシャンデリアを見て、赤いパーツをお探しになるお客様が多いですね」

その言葉に、福田の隣に座る桐谷万奈人氏がうなずく。今回のリニューアルに伴い内装設計を手掛けたGARDEのデザイナーだ。「今回のプロジェクトにあたり、バカラさんのショップも含めて、数多くのラグジュアリーブランドを手掛けている弊社をご選定いただきました」。デザインコンセプトとして「全席から必ずバカラのライティングが見えるように設計しました。バカラの世界を体験できるのがB barの魅力。ですから、その核となる〝体験〞の部分を補強するような空間を作りたかった。

『バカラの壁』の配置や、全席から照明が見える設計は、ゲストとスタッフの交流や会話を促すためのデザインなのです」と話す。

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    「バカラの壁」は前店舗にあったものを象徴的な存在としてエントランスに移設。
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    通路にはフランス・バカラ村のマニュファクチュールで撮影されたバカラの製品や職人たちの写真が飾られている。
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    新店舗では垂直開閉型の扉を採用。「作業中に頭をぶつけて怪我をする危険もなくなりました」と福田氏。機能性が向上することで、スタッフにとっても働きやすさや安全への配慮が行き届いた空間となった。
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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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