
(右)コットンデニムを用いたジャケットとパンツ。新しいシルエットのジャケット「ROMA(ローマ)」は、軽く柔らかい仕立てを採用しつつ、体のラインを拾わない、絞りを抑えた控えめなシェイプが特徴。同生地のパンツと合わせて、セットアップとしても着用可能な一着。ジャケット170,500円、パンツ84,700円。
1978年、イタリアはアドリア界沿岸にあるマルケ州のフィロットラーノにて産声をあげたラルディーニ。出自は小さな仕立て工房であり、当時弱冠18歳であったルイジ・ラルディーニ氏が、兄姉の力を借りて創業。瞬く間に多くの顧客を獲得し、その顧客リストには世界的なファッションブランドも多数名を連ねた。ファクトリーで培った技術を武器に98年に自身の名前を冠したラルディーニを立ち上げると、こちらも破竹の勢いで成長を遂げ、トップブランドの仲間入りを果たす。世界中に名をはせるようになった今でもイタリアらしいファミリービジネスを貫いている。
地域への投資を重ね、雇用を創出し、マルケ州に伝わるテーラリング技術を磨いてきた。ラグジュアリーブランドからラブコールを受け、モードな先進性も手に入れた。ラルディーニには、ブレない仕立ての技と、流行にもしっかりと応えられる柔軟性が備わっているのだ。
上にピックアップしたのは、今春夏の新作である。右はトレンド素材でもあるデニムで表現されたセットアップスーツ。先染めの糸を用いることで、色落ちしない特徴があり、デニムとはいえ着心地は非常に柔和な印象だ。ショルダーパットを用いていないナチュラルショルダーにもかかわらず、仕立ての技でしっかりと保形性を与えている。左は黒リネンのスーツ。湿潤な日本の春夏でも涼しげに過ごせ、なおかつブラックならではのシックなイメージも兼備。カットソーとスニーカーを合わせるだけで、しゃれた装いが楽しめる。どちらもクラス感のあるカジュアルスタイルをかなえてくれる逸品だ。もちろんビジネスやフォーマルな場でも品よく見せられる、かっちりとしたスーツも豊富に展開。昨今はシューズも制作しているので、頭からつま先まで、全身でその世界観を味わうことができる。