フィンランドの人たちは小さい頃から森に慣れ親しんで育つ。夏休みは森の中のサマーコテージで過ごし、無数に点在する湖で遊ぶ。まさに「森と湖の国」フィンランド。生活に森が溶け込んでいる。
そしてフィンランドでは林業が非常に盛んだ。国土の約7割が森林で、そこから豊富にとれる材木やパルプが国の経済を支えてきた。
なお基幹産業である林業の安定的な成長には、森林の保全と発展が欠かせない。今でこそSDGsの考えにのっとり、森林の持続可能性は世界中で重視されているが、フィンランドではその哲学が何十年も前から当たり前のように政策として実践されてきた。経済の好況に乗じて木材を一気に増産すべく、樹木を無計画に伐採したことで、森林の持続可能性が失われてしまった地域は世界に少なくない。その点フィンランドの森林は、文化的には生活の中で愛され、経済的には明確な戦略をもって守り続けられてきた。
そんな同国では古来、住宅は木造をメインとしてきた。ログハウスはその象徴である。「壁が木材そのものなので、室内は完全に木で包まれた空間です。ログハウスでの生活は毎日が森林浴のように心地よいことを、フィンランドの人々はよく知っています」と、ホンカ・ジャパンのマルコ・サーレライネン社長は話す。ホンカは1958年設立のフィンランドを代表するログハウスメーカーで、ログハウス用の木材を世界で初めて機械生産した歴史を持つ。
同社ゼネラルマネージャーの平井邦明氏は「ログハウスにはさまざまな効用があります」と言う。まず、木材は呼吸をしながら室内の湿度を一定に保ってくれる。そのほかシックハウス症候群の心配がないこと、静電気が発生しないためホコリや花粉が室内で回遊しないことも大きなメリットだ。断熱性も抜群で、室内は、夏は涼しく冬は暖かい。耐火性、耐震性にも優れる。そして平井氏は「最もお伝えしたい魅力は、香りです」と語る。
「木は、フィトンチッドという芳香成分をほどよく出し続けます。この成分は精神的なリラックス、免疫力のアップに効果があると研究で明らかにされています」
ちなみに木材には炭素を貯留する働きがあり、大気中の二酸化炭素の量の削減に貢献している。また木材は、同じ質量の鉄と比べると、製品化に必要なエネルギーは320分の1。脱炭素化社会に向け、実に有用な素材なのだ。「ログハウスは環境に負荷をかけない家です。これからの時代、いっそう受け入れられていくことでしょう」とサーレライネン社長。「フィンランドでは個人宅のほか、商業施設や学校でも採用される例が増えています」と話す。「日本でも多くの人に、一度私たちのログハウスを体験していただきたいです」
初台にオープンしたホンカのショールームではログハウスのような空間に身を置くことができるほか、実物の木材に触れながら、同社の独自技術も知ることができる。ログハウス体験の第一歩を踏み出せる空間だ。
●ホンカ・ジャパン
TEL 03-5309-2369