銀幕の新星、クラレンドル

格付けシャトーでその名を知らしめるシャトー・オー・ブリオン、その流れをくむクラレンドル。この正統派ボルドーでありながら親しみやすさを備えたワインが、第95回アカデミー賞セレモニーの場を独占した。セレブリティーをも魅了するワイン、その歴史と製法に迫る。

格付けシャトーでその名を知らしめるシャトー・オー・ブリオン、その流れをくむクラレンドル。この正統派ボルドーでありながら親しみやすさを備えたワインが、第95回アカデミー賞セレモニーの場を独占した。セレブリティーをも魅了するワイン、その歴史と製法に迫る。

(左)ドメーヌ・クラレンス・ディロン(右)ロベール皇子と姪のソフィー・ブライアン博士 ©A.M.P.A.S
(左)オスカー像のまぶしさに匹敵する「クラレンドル ボルドー・ブラン」。 ©A.M.P.A.S
(右)セレモニーで乾杯するロベール皇子と、ディロン家を支える姪のソフィー・ブライアン博士。 ©A.M.P.A.S

シャトー・オー・ブリオンのみならず、五大シャトーに続く明確な六番目シャトーとも言われるシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンを擁するのが、前述のドメーヌ・クラレンス・ディロンである。クラレンドルは、その特級シャトーの血統を受け継ぎながら、「手軽に楽しめるボルドー」を目指して誕生した。

その一流の証しは随所にある。

地元ワイン生産者と長期的なパートナーシップを結び、クオリティーの高いワインをボルドー全域から厳選。複雑なブレンドの基礎となる、さまざまな特徴を持つ風味豊かなワインが取りそろえられている。

これらのワインはドメーヌ・クラレンス・ディロンで精鋭チームのサポートを得てナタリー・バソ・ドウォーキンがブレンド。画一的なレシピはなく、「バランス、エレガンス、複雑さ」をモットーに緻密なブレンドを行う。そして熟成の頃合いを見極め、飲み頃になって初めてリリースされる。手軽なボルドーを目指すクラレンドルでは、販売店に並ぶボトルはすぐに楽しめるようにと考えられている。

ボルドーのぶどう畑から私たちの手元のグラスに注がれるまで、妥協のない製法と品質管理が徹底されているのである。

こうして完成するクラレンドルは、「サヴォア・フェール(職人の叡智 )」と「アール・ド・ヴィーヴル(生きることは芸術である)」を、伝統と現代的な表現の微妙なバランスを取りながら体現している。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。