いい音には透明感がある

既成概念を覆すような製品との出合いは、人生観までも変えてしまう。イタリアのソナス・ファベールとドイツのブルメスターが、そんなハイエンドオーディオの世界へといざなう。

Photo Masahiro Goda Text Yasushi Matsuami

既成概念を覆すような製品との出合いは、人生観までも変えてしまう。イタリアのソナス・ファベールとドイツのブルメスターが、そんなハイエンドオーディオの世界へといざなう。

ソナス・ファベール
(スピーカー)ソナス・ファベール
イル・クレモネーゼ。アントニオ・ストラディヴァリ氏が手掛けた中でも屈指の名器とされ、現在はイタリア・クレモナのヴァイオリン博物館所蔵の「イル・クレモネーゼ」をオマージュ。
(ステレオシステム)ブルメスター
(上)069+PSU リファレンス・CDプレイヤー。
(中)077+PSU リファレンス・プリアンプ。
(下)911 Mk3ステレオ・パワーアンプ。

世界中のオーディオ愛好家が、いつか実現したいと願うセットアップがある。イタリアのソナス・ファベール社製のスピーカーシステムを、ドイツのブルメスター社製のアンプでドライブさせること、それは一つの夢と言っていい。

「音の工房」を意味するラテン語を社名とするソナス・ファベールは、イタリア北部、ヴェネチアにほど近いヴィチェンツァで1983年に創業されたスピーカー専業メーカーである。歯科技師だった創業者、フランコ・セルブリン氏が理想のスピーカーシステムを自作したことをルーツとする。
琴線に触れる豊かで繊細な表現力はもちろん、イタリア伝統の木工技術と皮革製品の技法を駆使し、美術工芸品の域にまで達した外装も高く評価され、最も人気の高いスピーカーブランドの一つに数えられている。マセラティのスーパースポーツカー「MC20」のオーディオに同社のスピーカーが採用されたことも話題をさらった。

ブルメスターは、1977年にドイツ・ベルリンで創立。ファウンダーのディーター・ブルメスター氏は、プロのギタリストとして活躍後、電子技術を学び直し、医療用測定器の設計・製造を経て、関心の深かったオーディオ機器開発に転じる。創業間もなく発表したプリアンプ「777」が評判となり、その後も改良を重ね、製品ラインアップの拡充を図り、ドイツを代表するハイエンドオーディオブランドとしての地位を確立。「Art For the Ear」をスローガンに掲げ、約300項目もの検査・測定を実施する一方、数値だけでは測れない感性に訴えかける音を追求し続けている。メルセデス、ポルシェ、ブガッティなどが純正カーオーディオに採用していることも品質を証するものだろう。

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