強靭な構造のメリットは、地震対策だけではない。筋交いを入れなくても立ち上がるため、柱と柱の間に大開口を取ることができる。壁一面の窓や邸宅にふさわしい開放的な大空間が、自宅で実現できるのだ。遮るもののない伸びやかな空間に、大胆に取られた窓、屋外に広がる緑の景色や明るい光、そして風が、住まいの心地良さを倍増させる。大開口を生かし、リビングの延長のように利用できる中間領域としてのバルコニーもぜひ取り入れたい。この上なくハイテクでありながら、これまで以上に自然に近い。そんな逆説を、ヘーベルハウス半世紀の叡智が成り立たせている。
「形態は機能に従う(Form FollowsFunction)」というが、「RATIUS|RD」のたたずまいは、まさにこの言葉通りのモダニズムと機能美を感じさせる。重量鉄骨の直方体から、それぞれの暮らしに必要な機能を削り出した明快さが心地良い。ヘーベルハウスの代名詞とも言えるフラットルーフに加え、1階に比べて2階がぐっとオーバーハングしたダイナミックなフォルムも強い構造があるからこそ。天井を部分的に上げて縦への開放感を増加させるハイルーフユニットや、床を部分的に低くして開放感とおこもり感を演出するダウンフロアユニットも組み合わせながら、住まう人やインテリアによっていかようにも変化する、ミニマルかつ美しい空間を創出する。