シンプルで飽きのこないタイムレスなデザインながら、優れた実用性や機能性を兼ね備えたソファやテーブル。ドイツを代表する高級家具ブランド、ロルフベンツは、同国のクラフツマンシップにのっとって最高品質を追求し、伝統を守りながらも時代のニーズを反映した上質な家具を生み出している。同ブランドのものづくりの姿勢には、1919年にドイツ・ワイマールで創立された世界初の総合的なデザイン学校、バウハウスが目指した「機能を伴った実用的な造形」という理念が受け継がれている。
そんなロルフベンツが、2020年1月、世界で初めてのフラッグシップショップを東京・青山にオープンした。ヨーロッパでは高級家具ブランドとして認知度が高い同ブランドは、海外展開における次なる拠点として、20年以上にわたる販売実績がある日本を選び、新たなステージへのスタートを切ったのだ。
同ブランド が誕生したのは1964年。椅子職人であったロルフ・ベンツ氏が、生まれ故郷であるドイル南部のシュヴァルツヴァルトの街、ナーゴルトで張りぐるみ家具を製作する工房を設立したのが始まりだ。現在もナーゴルトに本社を置き、商品開発から製造まで自社で一貫して行い、ナーゴルトとその周辺にすべての工場を構えている。
「黒い森を意味するシュヴァルツヴァルトには豊かな森林が広がり、家具に欠かせない木材資源に恵まれています。それゆえに、丈夫なフレームづくりや丁寧な椅子張りといった家具づくりの優れた職人技術が発達してきました」と話すのは、現在CEOを務めるユルゲン・マウス氏と、プロダクトマネジメントを統括するベッティーナ・ヘルマン氏。「私たちは、その資源や技術を生かしながら、最高品質の家具を生み出しています。ドイツの厳しい工業規格にのっとるのはもちろん、社内ではさらに厳格な基準を設定してクオリティーを維持しています。 そして、創業当時から人々のニーズを読み取り、家具単体だけでなく快適で豊かな暮らしそのものを提案し続けているのです」
創業と同年、同ブランドが発表したコーナーソファ「ADDIFORM(アディフォルム)」は、まさに彼らの言葉通り、新たな世代のライフスタイルをつくり出す革新的なものだった。それまで、ソファといえば応接間に置く画一的なものだったが、テレビの普及に伴いリビングがだんらんを楽しむ場所になると考え、「リビングの核」となるソファを提案。アームチェアやベンチ、シェルフ、サイドテーブルなどを使い手が好きなように組み合わせて構成できるシステムソファを生み出し、リビングの在り方を一新したのだ。その後、半世紀以上を経て現在に至るまで、常に人々のライフスタイルを念頭に置きながら、実用性が高く機能的な家具を追求している。
近年では空間のトータルコーディネートを目指し、ソファやダイニングセットといったメインの家具だけでなく、スツールやハンガーラック、ラグ、ブランケットなど、多様なアイテムを幅広く展開。2019年には、同ブランドで初めてとなるベッドコレクションを発表した。
「空間の隅々まで見渡して快適な暮らしに必要なアイテムを生み出し、インテリアそのものを提案することで、ロルフベンツが思い描く豊かな暮らしが実現できたらと思っています。今後も徐々にアイテムを増やす予定で、アウトドアコレクションの展開も念頭に置いています」
そんな同ブランドの世界は、新たにオープンしたフラッグシップショップを訪れれば存分に体感できるだろう。3フロアで構成された店内には、日本初登場となる最新作も並ぶ。
「グローバル・フラッグシップ・デザイン」をテーマとしたショップデザインは、同国・ハンブルクを拠点とするインテリアデザイナー、labsdesignが担当し、ロルフベンツがデザインを監修。上質な木材や大理石などにより高級感が演出され、どこかぬくもりが感じられる心地良い空間だ。直線や円形など、デザインの原始となるようなシンプルでクリアなフォルムがインテリアの随所に取り入れられている。
「何よりも大切にしたのは、お客さまが気軽に立ち寄れるような親しみやすい雰囲気です。ぜひ、ふらっと立ち寄って、私たちのソファの座り心地を試してみてください」
●ロルフベンツ東京 TEL03-6419-4321
※『Nile’s NILE』2020年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています