薪ストーブの魅力は、暖かさだけではなく、その存在感と見た目にある。特にオレンジ色の美しい炎のゆらめきは、年齢や地位などあらゆる鎧を脱ぎ捨ててひとりの人間に立ち戻り、心の奥底までリラックスさせてくれるパワーがある。
そんな薪ストーブ界に革新をもたらしているのが、寒さ厳しいドイツの芸術と経済の街、ノルトライン・ウェストファーレン州エルデに本社を構えるスキャンサームだ。1981年に設立されて以来、芸術性と機能性を備えた画期的な商品で薪ストーブ界を牽引するパイオニアである。
とりわけ、設置する部屋に応じて燃焼室を含む本体と蓄熱ボックスを組み合わせ、数百通りにデザインできる可変性の薪ストーブ「エレメンツ」シリーズは、世界に衝撃をもたらしたといっていい。2021年の新作「エレメンツ603 3S」「エレメンツ400 3S」は、3面ガラスで炎の眺めをより立体的に美しく魅せるのが特徴。
従来の薪ストーブでは、多面ガラスでは熱が冷めやすいため煤けやすく、すぐに曇って見えなくなってしまうという難点があったが、この3Sシリーズは3面すべてに二重のペアガラスを採用することにより、炉内の温度を高温にし、常にクリーンで良好な視界を保つ。さらに、オプションで世界初の技術となる熱反射ガラスを選ぶことも可能。
薪ストーブは可燃物と距離を保つ必要があり、そのために3面ガラスは制約が多くなるとされていたが、この熱反射ガラスでは熱が燃焼室に反射されて戻るため、通常の離隔距離600㎜を450㎜まで短縮できる。つまり、周囲を大きくあけなくても、他の家具に薪ストーブを調和させ、部屋に美しい炎の風景を取り込むことができるのだ。
蓄熱ボックスを横に並べればベンチになり、火を囲んで憩う「ファイアラウンジ」に。ボックスに敷くオプションの本革クッションには29色ものカラーバリエーションがあることからも、インテリア家具としての意味合いが重視されていることがわかるだろう。
スキャンサームといえば、ドイツのあらゆる鉄鋼関連企業がしのぎを削る「スチールイノベーションアワード」で輝かしい功績を収めたディテールへの追求も魅力。溶接したのち、手作業で「削り」と「研磨」を重ねた、研ぎ澄まされたラインやエッジの美しさは、部屋の主役にこそふさわしい。
もちろん、部屋を効率的に暖める燃焼効率や安全性も世界トップレベルだ。本体外部に空気断熱層を設けた複層構造と厚さ30㎜のバーミキュライトの遮熱板により、高い断熱性を実現。安全かつ高効率に部屋を暖めながら、迫力のある炎の立ち上がりを可能にしている。
美しさと機能を兼ね備えたスキャンサームの「エレメンツ」シリーズ。こだわりの炎とデザインを中心に、大切な人とくつろぐ至福のひとときを楽しんでもらいたい。
●ワンダーバル TEL0120-4102-85
※『Nile’s NILE』2021年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています