赤煉瓦(れんが)や石造りの歴史的な建物が残る異国情緒が漂う街並み。クルーズ船やカモメが行き交う美しい海沿いの景色。どこを切りっても絵になるのが横浜という街だろう。さわやかな潮風に吹かれながら街中を散策すると、どこからともなく船の汽笛が聞こえてくる。海を感じながら過ごす穏やかな日常は、都心では決して味わうことができない至福の時間だ。
多くの人を引き付けてやまない横浜は、横浜港開港以来、文明開化とともに歩んできた歴史を継承する一方で、外国からも新しい文化を積極的に取り入れるなど独自に発展してきた。それが、ここにしかない魅力あふれる雰囲気を生み出しているのだろう。憧れの街として人気が高いのもうなずける。
そんな横浜を代表するエリアの一つが「山下・関内地区」だ。幕末にペリー率いる黒船が浦賀沖に来航したことを機に、三大貿易港の一つとして栄えた関内は、国内外から文化や情報が集まる中心地として変化を遂げ、古き良き港町の面影を今に残している。横浜港が開港すると山下町一帯は外国人居留地を中心に繁栄し、当時の日本ではめずらしい花屋や洋服屋、西洋家具屋、パン屋、カフェなどが軒を連ねた。その後、横浜の街並みや港を一望できる環境の良い山手の高台にも外国人居留地が築かれ、今でも当時の名残をとどめている。そこにはフェリス女学院や横浜雙葉学園など日本有数のミッション系名門校が立ち、風格ある街並みを形成している。
このように伝統を受け継ぐ「山下・関内地区」に対して、新都市として多くの人が訪れるのが「みなとみらい21地区」。広々とした埋め立て地に、観光スポットとして人気の横浜ランドマークタワーを始め、クイーンズスクエア横浜、横浜美術館といった多彩な大規模施設が集まっており、レジャーやショッピングなどを楽しむたくさんの人で、常ににぎわいを見せている。
そして、それぞれ異なる魅力を持ったこの両エリアを結ぶ場所として、さまざまな業界から今注目を集めているのが、みなとみらい線馬車道駅を中心とする新街区の「北仲通北再開発等促進地区」だ。
両エリアに徒歩でアクセスでき、都心への利便性も抜群。2012年に特定都市再生緊急整備地区に指定されたことを機に、約7・5haの大規模開発事業が開始された。また馬車道駅の南側に位置する「北仲通南地区再開発地区」には横浜市庁舎が2020年に移転新築するなど、このエリアを中心として、多岐にわたるプロジェクトが進められている。“伝統”と“未来”を融合し、他にはない魅力を放つ新街区。観光はもちろん、充実した暮らしも実現できる、新たな横浜を牽引(けんいん)するエリアとして、これからの期待がさらに高まっている。都心とは異なる横浜ならではの理想のライフスタイルを追いかけてみたい。
※『Nile’s NILE』2018年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています