自然素材特有の心地良さがあり、地球環境負荷が少なく、経済面でも優れた木造建築。2004年に枠組壁工法が耐火構造の国土交通大臣認定を取得したことに加え、2010年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」によって、大規模な木造非住宅建築の建設が年々増加。2020年東京オリンピック関連施設でも木造化が進められている。
そんな中、今後ますます注目されるのが医療・介護分野の施設だ。2018年度の「診療・介護報酬のダブル改定」は、介護事業経営者にとって厳しい状況となることが予想され、新たに施設を計画する際のコストに対する意識もますます重要になってくるだろう。その点、木造はRC造に比べて工期が短く、10〜15%ほど工事費を抑えられるというメリットもある。さらに減価償却期間(法定耐用年数)が短いため、キャッシュフロー上も有利だ。
また医院建築や医療・介護施設において、介護事業経営者や医師が木造を希望する理由の一つに、木特有のあたたかみや自然素材の良さがある。高齢者の多い医療・介護施設では、安らぎや安心感といった空間の居住性が重要視され、古くから日本人が慣れ親しんできた木造が選ばれるケースも多い。さらに木の床材はRC造の直貼り床に比べて柔らかく暖かいことから、高齢者の足腰への負担が軽減されるうえ、転倒時の骨折率が低いという調査結果もある。
コスト面や高い居住性に加え、耐震性や高気密・高断熱性などさまざまなメリットを持つ木造建築だが、その第一人者として数々の実績を誇るのが三井ホームだ。枠組壁工法の先駆者として木造建築に携わり44年という中で、住宅のみならず、医療・介護・福祉・文教・保育施設などの公共性の高い建物や大型の商業施設も多数手掛けてきた。2010年には日本で初めての耐火建築による園舎「所沢第二文化幼稚園」、2016年には国内最大の枠組壁工法による地上5階建て特別養護老人ホーム「花畑あすか苑」を完成させている。
幅広い分野の施工に携わる同社だが、中でも得意とするのが医院建築だ。全国各地に数多くの医院や医院併用住宅の施工実績があり、その数は4500件(※)を超える。同社が医師から選ばれる理由の一つが、医療に関する経験や知識の豊富な専門スタッフがサポートしてくれる安心感だろう。これまでの実績から培ってきた独自のノウハウを生かして、開業に適した用地の探索から、資金調達はもちろん、医師の経営方針に基づき、設計、施工に関わる全ての場面でトータルに関わり、これからの地域共生社会に向けて求められる医院建築を提案する。
現在、国内では最大4層までが建設可能な木造建築。三井ホームでは木造のさまざまなメリットを生かしながら、社会に貢献できる持続可能な施設づくりを目指していく。
※『Nile’s NILE』2018年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています