ティンシーリングにエイジング加工を施した天井がクラシックな印象。ビンテージ家具がゆったりと置かれているが、インダストリアル(工業系)デザインがほどよく調和してスタイリッシュでもある。ここが不動産会社のショールーム兼オフィスといったら驚くだろうか。モリオのデザインや施工のクオリティーが表現された空間である。
「最新の設備で機能性に優れた商品は、新しい時にはそれなりの価値をもたらしますが、時が経つとたちまち陳腐化し、価値を失います。ところが、欧米の住まいは100年、200年と大切に住み続けられ、その価値を失うどころか、より高いものになっている。日本と欧米の住まい造りに、いったいどんな理念の違いがあるのか? 弊社はそこに焦点をあて、不動産商品を開発してきました」
と語るのは、CEOの森田夏光氏。時計や車、ファッションに精通し、確かな審美眼で、不動産業界にデザインのイノベーションを起こそうとしている、その人である。
「時計で例えるとクオーツ式の最新時計と、スイス製の機械式アンティークウオッチの違いです。前者は性能や機能性においては優れていますが、市場価値は後者の方が圧倒的に高い。そこにあるのは人の感情にダイレクトに訴えかける美しさであり、高揚感です。住まい造りにも同じことが言えるのではないかと考えたのです」
クラシックカーやアンティークウオッチのように、時を経てなお味わいを増し、価値が続く住まい。それは、タイムレスで普遍的なデザインを採用すること、そして風合いが増していくような本物の建材を使うことによって実現できるという。
ショールームで見ることができるのはほんの一例にすぎないが、デザイン上で意識するポイントも明確だ。
「トラディショナル一辺倒ではノスタルジックな懐古趣味になってしまいます。ファッションも50’sや80’sのリバイバルとトレンドはサイクルしますが、現代的な解釈で洗練されたものになるのと同じで、弊社の商品もトラディショナルを押さえた上で必ずモダンな要素も織り込みます」
それは、周りの風景にも影響を与えるような、存在感のある住まい。先ごろ販売を開始した「メゾン・ド・ルブラン滝野川」は、モリオの掲げるコンセプト通りの投資用マンションだ。
まるで、フランス・パリの瀟洒(しょうしゃ)なアパルトマンのような、クラシックでありながらエスプリの利いたデザイン。確かに時を経ても魅力を損なわないような、タイムレスな雰囲気が感じられる。こうした意匠性の高い物件は人の目を引き、周辺相場よりも高い家賃を期待できるだろう。しかも、普遍性のあるデザインはいつまでも魅力を失わず飽きられないので、空室対策にもなるというわけだ。
住まい手・投資家双方にとって、日本の不動産はおもしろくなりそうな予感。モリオが提供するのは、日々の暮らしに感動のある豊かなライフスタイルそのものかもしれない。
※『Nile’s NILE』2016年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています